そのウォームアップ、逆効果かも?!クライマーのためのウォームアップとは?(2)

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これでバッチリ、クライマーのためのウォームアップ!

① ジムまで厚着をして行く

目的の課題を登れるかどうかの勝負は、ジムに着く前から始まっています。体を冷やした状態でジムに向かったらもったいない!暖かくしてジムへ行きましょう。手袋なども使って指先の冷えを防止します。

② 早足で(自転車なら頑張って漕いで)ジムに向かう

ダラダラ歩いていたらカラダも冷えますよ!スタスタ歩いて行きましょう。自転車なら安全に注意しながら重めのギアでしっかり漕いで行きましょう。クルマで行くならエアコンをしっかり効かせて暖かくして向かいましょう。

③ ジムについてもウォームアップ中は薄着にならない

すぐにTシャツ1枚にならないでください!ジャケットなどを羽織ったままウォームアップをし、体温を逃さないようにします。

④ ここで”ボルダリング体操”をワンセット

”ボルダリング体操”は私が長年患者さんと向き合いながら作り上げた、”クライマーのための”スペシャルエクササイズです。

*ボルダリング体操は動画ですべて公開しています。ぜひ動画を観ながら試してみてください。

 
ボルダリング体操は全部で10種類のかんたんな体操です。
◯ 個別におこなっても効果がありますが、10種類全てやる場合はこの順番でやると最も効果的です。
◯ 痛みのある動作は決して無理に行わないようにしてください。
 

1.  かかとトントン

全身の脱力を促す最初の体操です。肩の力を抜き、ごく軽くかかとをバウンドさせます。ふくらはぎの筋肉のポンプ作用で全身の血行も促進されます。腹式呼吸しながら行うとリラックス効果がさらに高まります。

2.腕ユラユラ

肩の力を抜いて骨盤を左右に軽く回します。腰を回すと自然と腕ば前後に揺れますので自然と揺れるのに任せます。肩甲骨周りの筋肉がゆるんでいきます。骨盤を回すスピードを変えると腕の揺れ方も変化しますので、いろいろなスピードで試しましょう。

3.腕ブラブラ

ボルダリング体操の要になるエクササイズです。前腕〜肩・脇・肩甲骨周辺の筋肉を手のひらで軽く圧迫し、腕をブラブラと揺らします。筋肉を軽く圧迫して動かすことで、効果的に筋肉のハリを取ることができます。

4.肩甲骨グルグル

左右どちらかの肩を上下・左右に大きくゆっくり動かしたあと、大きく前後に回します。左右同時にやると大きく動きませんので別々に、またゆっくり動かすのもポイントです。

5.すごーい伸び

指を組んで前・後・上に大きく息を吐きながら伸びをします。伸びたまま大きく息を吸って数秒止め、その後ゆっくり息を吐いて脱力します。胸郭や肩甲骨まわり・横隔膜などの筋肉がよく伸び、背中〜肩・腕の動きが良くなります。伸びると痛む方は無理にやらないようにしてください。

6.指ユラユラ

指の関節や付け根の部分を反対の手で軽くつまみ、つままれている方の手を上下に軽く揺らします。痛むほど大きく動かしたり強くつままないよう、軽く行うのがポイントです。指には筋肉がありませんが、このエクササイズで指の疲労を減らすことができます。カチ課題の後にも効果的です。

7.手のひらニギニギ

手のひらには骨のすき間に小さな筋肉があります。その筋肉を反対の手で押さえて軽く指を曲げ伸ばしします。指は深く曲げ伸ばししないように軽く動かします。指ごとに行うのも効果的です。

8.足ブラブラ

上記の腕ブラブラと同じ要領で足をブラブラさせ、太もも・おしり・腰・そけい部の筋肉を手で押さえます。手で押さえた部分がゆるみますので、いろいろな部分を押さえるようにします。腰が張る方は、おしりの上の方と太ももの前面がこることが多いのでその部分をよく押さえます。

9.足ブルブル

床か椅子に座って太ももとふくらはぎを両手で軽くつかんで揺らします。回転させるように揺らしたり、上下方向に揺らすと筋肉がよくゆるみます。ももの前面はひざを伸ばした状態で、ももの背面はひざを曲げた状態がやりやすいです。ふくらはぎは軽く足組したような体勢でおこないます。

10.股関節グルグル

 

立った状態または横になった姿勢で片足ずつ大きくひざを回します。時計回り・反時計回り両方にゆっくり大きくていねいに回すとおしり・そけい部・腰などの筋肉がゆるみます。大きく回すと痛い場合は小さく回すとよいですが、それでも痛い場合は中止してください。横になってやるとさらに効果的です。

…この10種類のエクササイズで肩と股関節の可動域もアップします。いつもと比べてなんとなく腕が伸びる感じがするはずです。膝もいつもより上げやすいはずです。”ボルダリング体操”の効果は、これまで全国のワークショップに参加していただいた900名以上の方で実証済みです。ぜひ取り入れてみてください!

⑤ さらに下半身を動かすエクササイズで体温アップ

・もも上げ(その場で走るように動く)30回

・10回もも上げジャンプ(ジャンプして両膝を上げる)

これで心拍数が増加してさらに暖まってきます。脚やお尻の筋肉は上半身に比べてはるかに大きく、下半身を動かすと一気に体温が上がるのです。

⑥ 空いてる壁でシャドークライミング

「体が暖まったからさあ登ろう」…ちょっと待ってください!暖まったけどいきなり登ったら身体はビックリ、緊張してしまいます。登る前に”シャドークライミング”をやりましょう。

・空いてる壁を探して
・マットの上を歩きながら
・色々なホールドを色々なムーブでつかんだり引っ張ったりします
・肩や背中をゆっくり伸ばすイメージで全身を大きく動かします
・深呼吸しながらリラックスして行います
・少し手汗が出てくればOKです
…あなたの脳は”これからクライミングが始まるらしい”と気づきます。身体に”クライミングモード”のスイッチが入るのです。

…これでバッチリ、ウォームアップ完了です! ジムに行く前からウォームアップを始めることで、無駄な時間をかけずに効率よく登ることができます。

…以上、正しくウォームアップをやる意味とおすすめの方法をご紹介しました。

ウォームアップを正しくやると上達する!

ウォームアップを正しくやっている方は必ず上達します!全身の動きが良くなり、故障予防も同時にできるからです。故障で休むことでレベルダウンするが一番もったいないですよね。 全部やっても10分~15分。ちょっとだけ時間を作ってぜひ試してみてください。仲間で登っている方はみんなで一緒に行うと楽しく続けられます!

山田 隆(やまだ たかし)

ボルダリングの整体院 院長 / ボルダリングストレッチクラブ・山田塾 代表

高校時代クライミングと登山に出会う。元国体神奈川県代表、北米最高峰デナリ登頂ほか。クライミングでは2段・5.13aと平凡ではあるものの、ボルダーからアルパインクライミング、トレイルランやバックカントリースキーまで幅広く続けている。

20代で脱サラ後、クライミングショップのカラファテに勤務ののちボルダージム立ち上げを経験。自らの故障改善のために身に付けた治療法をジム利用者に行なううち評判となり、クライマー専門整体院「ボルダリングの整体院」を開院。これまで数千名のクライマーに身体のケアや個別指導をおこなっている。

2016年から「正しい効果的なセルフケア」を広めるため、「ボルダリングストレッチクラブ」および「山田塾」を開始。SNSでの情報発信や全国各地でのワークショップをつうじて”Painless Climbing〜痛みのないクライミング”の輪を広げるために活動中。

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