幻の氷柱「二刀流」13年ぶりの再登

文=石原幸江

2月10日、仙台・二口渓谷の風の洞エリアに、私は仲間7人と訪れました。そして幻の氷柱「二刀流」を登りました。この「二刀流」は、二口渓谷特有の「標高が低いので、氷の適期が短く氷質が変化しやすいテクニカルな氷」で数年に1度、下まで繋がるか繋がらないかの氷柱です。


写真=千葉英一

2005年に新妻(重明)くんが初登して以来、誰にも登られていません。 仲間と氷柱を確認し、登れそうなので、私が登らせていただきました。

選んだラインは向かって右側で、下部はうす被りのチムニーから始まって、中間部はのっぺりとした幅70~80㎝くらいの垂直のカンテを登りました。上部は若干傾斜は弛むものの、氷質が柔らかくなり最後は雪混じりの氷に変化していました。そしてまた、この日は気温がプラス1度。氷柱の周りの氷はシャンデリア状で水が常に滴り、その中で一番固そうな右側の70~80㎝のラインを攻めていきました。

オンサイトトライでノーテンションのスタイルを目指しましたが、深夜東京出発の寝不足と疲労、バージンアイスでアイゼンが切れ切れで消耗し、おまけに水氷で最新のスクリューが全く使えない所があり、さすがに、スクリューを打ってからですがテンションしてしまいました。私的にはかなり残念です。

しかし、いつもここに通い登ってきた地元のクライマーは、「二口はアルパインアイスだよ。氷が下まで繋ったら兎に角直ぐ登ったよ。次の週にはもうこの氷は無くなるかもしれないからね」と。それを聞いて、妙に納得できました。自分のスタイルも大事だけれど、二口特有の気候にあった登り方もありかなとも。そして自分の第2登を受け入れることができました。


写真=高村正基

グレードは不明だそうですが、2005年ロクスノでの新妻くんの記事では、WI6+~7 Rと書いてあります。今回、私が登った感じではWI5+。ただ中間部に横の亀裂が入っているのと、上部に行けば行くほど氷が柔らかく、最新のスクリューが入りません。また氷柱の上部からの雪崩、そしてかなり壁から離れているフリースタンディングピラーで崩壊の危険性があるので、登るときは注意が必要です。

最後に私の完登を喜んでくれた東北の仲間の皆さん、ありがとうございました。

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