エイダン・ロバーツ、英国ランカシャーで8C課題初登

Nick Brown, ukclimbing.com  訳=羽鎌田学

エイダン・ロバーツは、英国ランカシャー州ランカスター市シルバーデール近くのトローバロウにあるシェルター・ストーンで、フォンテーヌブロー・グレード8Cに相当する課題の初登に成功し、Outliersと命名した。これは、彼によって初登された2本目の8C/V15課題である。 2019年には米国ロッキー・マウンテン国立公園でRailwayを初登し、彼は今回同様8Cとグレーディングしている。

エリアの名前になっているシェルター・ストーンと呼ばれる岩の裏面に位置する8A課題Atrocity Exhibitionをシットスタートで始め、下から繋げる課題である。エイダンは新課題について次のように説明する。「小さなホールドを2つ使って体を持ち上げるのですが、特にカチ持ちしている左手の親指の使い方が重要になってきます。3連続のハードなムーブがあるのですが、そのひとつはルーフ状になっているところでバックハンドみたいな体勢に入る時に、その前の両手を開いた強烈に肩にくる恰好のまま足をかなり高いところに上げて一気にルーフのアンダーに左手をマッチさせるムーブです。そしてルーフを左上気味に越えるのです」

Outliers 8c/V15を初登するエイダン・ロバーツ

 
 
 
 
 
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エイダンがこの課題に初めてトライしたのは2週間前。しかしその時の気温は理想からほど遠いものであった。トライしていた時間は短く、最初の2ムーブさえもこなすことができなかった。そんなこともあり3度目のトライのために戻った時には、彼は大した期待もしていなかったようだ。「でもやってみると、知らず知らずのうちにどうやればいいかということが次第にわかってきたのです。ただ単にハードにトライし続けているうちに、しだいにより力が漲ってくるのを感じ、ついにムーブを解き明かすことができたのです。ムーブを解決できて一気に完登に近づいたと感じられました。それにはもう自分でも驚きました。それに自信も湧いてきたのです。そして何回かのトライの末、課題を足元にすることができたのです」

この課題は英国における最難課題のうちの一本になることは間違いない。エイダンは最強の英国人ボルダラーのひとりであり、ここ数年は米国ロッキーのボルダーに設定されたハードな課題から、英国グロスターシャー州にあるビブリンズ・ケイブや、家からより近いレイク・ディストリクトにあるプロジェクト課題などを登りながら過ごしているのだ。彼は今回登ったOutliersのグレーディングの際に、同じ岩にある8B課題Isla De Encantaを参照している。

「Outliersが登れた後、すぐにグレードが8Bに落ち着いているIsla De Encantaに手を付けたのです。そうしたら、少し前にはOutliersでそうとう消耗していたはずなのに、最初のトライで割と楽に課題を落とすことができたのです。ですから、両者の間に少なくともワングレードの差はあってもおかしくないと感じました」

それだけでは物足りなかったエイダンはやはり同じ岩にあり、彼自身今年早々に再登した8B課題Shallow Grooveをクールダウンがてらに何度か登ってみる。「この課題もやはり比較的楽に登ることができたのです。ですから最初はOutliersを8B+にしようかと思っていたのですが、それでは課題の難しさを正しく表していないと考え始めたのです」

今のところ英国で登られた8C課題は数本を数えるのみだ。その輝かしきグレードを与えられた注目に値する課題には、ビブリンズ・ケイブにあるジェームズ・スクワイアのThe World Is YoursとAmbition、そしてピーク・ディストリクトのロッシュ・アビィにあるマイク・アダムスのSerenataも含まれている。

※その後もエイダンの快進撃は続き、8月31日にはバジャー・ケイブでBadger Badger Badger(8A/V11)を3トライで、Dandelion Mind(8B/V13)を2トライで、Bewilderness(8B+/V14)を4~5トライで完登した。さらに翌々日にはクレスブックの著名課題Superman(8B/V13)を惜しくもフラッシュを逃したのち2撃。Superman sit(8B+/V14)をその日のうちに完登した。

現在英国で最も強いボルダラーはこのエイダン・ロバーツに間違いないであろう。

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