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ヴァジム・チモノフ、ロシアのジャン・トゥガンでBlackflip Sit 8C+/9A(V16/17)初登
planetmountain.com
訳=羽鎌田学
この5月の頭に、ロシア人ボルダラー、ヴァジム・チモノフは、ロシア連邦カバルダ・バルカル共和国の南端、コーカサス山脈の最高峰であるエルブルース山(5642m)の麓に位置するボルダーエリア、ジャン・トゥガンで自身のプロジェクトであったBlackflip Sitを完登し、グレードを8C+/9Aとした。世界最難に匹敵する一本の登場である。
1992年生まれの彼は、以前それぞれ2、3週間の滞在で2度この地を訪れ、当プロジェクトにトライしていた。そして3度目の訪問となる今回、4月末にはスタンディングスタートで8Cとされる同課題を登り、シットスタートでの完登のためにさらに2週間を費やした。脚と体幹の両方が試される13のハードなムーブで構成された課題であった。
ヴァジムは彼の持つ純粋な能力と計り知れない強さで知られ、既に15本以上の8C課題を登っている。今のところ8C+の再登には成功していないが、それはおそらく海外ツアーの際、1本の課題に集中するよりも量をこなすことに重きを置く傾向があるからだろう。当然のことながら、彼のフラッシュした8Bと再登した8B+の課題リストは、驚異的だ。
とはいえ、8Cから8C+へのジャンプは紛れもなく巨大で、グレードについて尋ねられた彼は、次のように説明した。
「私は数多くの8C+課題にトライしたことがあります。また、9A課題に触れたこともあります。ですから、比較する材料は持っているのです。でも、みなさんが疑っているのは分かります。それも仕方がないとは思います。私自身もグレーディングに非常に悩まされ、このようなグレードを表明するのが少し怖かったのですが、結論を出す前に時間をかけてじっくりと考えました。
私は世界各地でたくさんの高難度課題にトライしてきたし、かなりの経験を積んできていると思っています。適切な評価を下せたと願っていますが、もちろん、間違っていた場合にはその間違いを受け入れる用意もあります。最終的なグレードがどうであれ、今回の初登はおそらく私のクライミング人生における最高のパフォーマンスのひとつだったと考えています」