ヤーニャ・ガーンブレット、マルタタールでBügeleisen Sit(8C)を女性初登

planetmountain.com
訳=羽鎌田学

2024年5月12日、25歳のスロベニア人クライマー、ヤーニャ・ガーンブレットが、2014年にオーストリアのマルタタールでナーレ・フッカタイバルが初登した8Cボルダー課題、ビューゲルアイゼン・シット/Bügeleisen sitの女性初完登に成功した。

2022年、ヤーニャ・ガーンブレットは、オーストリア南部、イタリアとスロベニアの国境からも近いマルタタール(マルタ渓谷)で、2001年に当時地元オーストリアのボルダー界でパイオニア的存在であったクレム・ロスコットによって初登され、今では8B+のクラシックなマスターピースとなっているBügeleisen standを女性クライマーとして初めて完登した。

それから2年後の2024年5月12日、彼女は当然のステップアップとして同課題のシットスタートにトライし、これを短時間で完登した。2014年にナーレ・フッカタイバルによって設定、初登されたシットスタートは、クレム・ロスコットのオリジナルの課題に3つの絶悪なムーブを追加したもので、そのグレードは8Cに押し上げられている。

ヤーニャは、「世界屈指の高難度ボルダー課題のひとつ」と定義されているBügeleisen Sitを再登したことで、ヤコブ・シューベルト(2015年)、ステファン・スカルペリ(2020年)、ニコライ・ウシュニック(2020年)、フローリアン・ヴィンチェス※(2021年)、ニッコロ・チェリア(2022年)の後を追うことになった。また、同課題の女性初完登を達成しただけでなく、2022年のBügeleisen stand(8B+)、そして昨年スイスのマジックウッドで登ったNew Base Line(8B+)の上をいく、彼女にとってこれまでで最もハードなボルダー課題を登ったことになる。

ヤーニャがこの課題を登り切る能力を持っていることを、普通まず誰も一瞬たりとも疑わないだろう。しかし、それにもかかわらず驚かされるのは、彼女の完登までのスピードとスタイルだ。2年前に少しだけ手を出したことはあったが、今回、 30分もかからずにムーブをものにして、課題を登り切ってしまったのだ。おまけに、完登ビデオのクオリティーに満足できなかった彼女は、もう一度登ってみせたという。いやはや、脱帽の一言に尽きる。

※フローリアン・ヴィンチェスは、2023年10月に瑞牆で村井隆一初登のFloatinを第2登したドイツ人ボルダラー

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