ハーネス・ファン・ドゥイセン、マジョルカ島で伝説のEs Pontas再登

planetmountain.com 
訳=羽鎌田学
写真=Timothée Nitschke

10月下旬、ベルギーからやって来たハーネス・ファン・ドゥイセンが、地中海に浮かぶバレアレス諸島最大の島、マジョルカ(現地カタルーニャ語読みでマヨルカ)島にある世界最難のディープウォーターソロ・ルート、Es Pontasを驚異的な素早さで再登した。

Es Pontasは、島の南東側、サンタニー町の海岸すぐ近くの海面から姿を現す高さ20mほどの巨大な自然のアーチを登るラインで、その高さ半分弱のところに非常に遠いダイノがあり、このクライミングスタイルの誰もが認める達人、クリス・シャーマによって2006年に初登された。第2登は、10年後の2016年にスロベニア人クライマー、イェルネイ・クルーデルの手による。その後、2018年にはドイツ人クライマー、ヤン・ホイヤーが、続いて2021年にはヤコブ・シューベルトが、それぞれ第3登、第4登に成功した。

ハーネスは、何よりもコンペでの素晴らしいパフォーマンスで知られている。実際、彼はパリ2024オリンピックのボルダー&リード複合種目に出場する資格を得た20人の男性アスリートのうちの1人だった。またそれ以前には、コンペクライミングに専念していたにもかかわらず、岩場でリードでは8c+のルートを、ボルダーでは8Cの課題を登る実力者でもあった。

マジョルカ島への今回のツアーは、ハーネスにとって、初めてディープウォーターソロを目的としたものであり、ディープウォーターソロ発祥の地マジョルカでの呼び名シコブロックは彼の力強くアグレッシブなクライミングスタイルにぴったりだったようだ。今年の9月に20歳になったばかりの彼は到着後直ちに目標を、彼自身が「絶対的な人生の目標」と表現したように空高く掲げ、トライ開始。そして、この「途方もないライン」の完登をわずか4日で達成してしまった。

ハーネスは、Es Pontas完登の数日前には、近くの海岸の別のエリアでやはりディープウォーターソロ・ルートである Poseidon’s Kissをフラッシュすることに成功したが、これもまた大いに注目に値する。8c(5.14b)のルートだが、そのフラッシュはおそらくEs Pontasの再登よりもさらに印象的なパフォーマンスだ。

※ハーネス・ファン・ドゥイセンの前後に、10月上旬にはフランス人ボルダラー、レオ・ファヴォが、そしてハーネスのわずか数日後にはフランスのコンペクライマーを代表する若手のひとり、メジディ・シャルクがEs Pontasを登っている。10月の1ヵ月間に、第5登、第6登、第7登が続いたことになる。

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