トランゴ、ネームレス・タワーのEternal Flame、相次いで再登

ネームレスタワー Paolo Sartori, Black Diamond

エドゥ・マリン、Eternal Flameフリー第2登成功

planetmountain.com 訳=羽鎌田学

カタルーニャ人クライマー、エドゥ・マリンが、兄のアレックス、父親のフランシスコとパーティーを組み、パキスタンのトランゴ・タワーズ中の一峰、ネームレス・タワー(6239 m)でEternal Flameをフリーで第2登した。 Eternal Flameは、1989年にクルト・アルベルト、ヴォルフガング・ギュリッヒ、クリストフ・スティグラー、ミラン・シコラによって開拓初登され、そのカラコルム山脈バルトロ氷河に聳えるビッグ・ウォールは、2009年にはフーバー兄弟、トーマスとアレクサンダーによってフリー化された。

1年前、2021年夏にトライした時には、残すところあと2ピッチをフリーで登ることができずに、時間切れ。そして今年の再トライで、高所での最難フリークライミング・ルートとしてばかりではなく、地球上で最良かつ最も美しいフリークライミング・ルートとして見なされている伝説のルートのフリー第2登を達成した。

かつてはワールドカップでも活躍する優れたスポートクライマーであったエドゥ・マリンは、ヨーロッパアルプスで代表的な高難度マルチピッチ・ルートを数々登り、次のステップとして2021年にはEternal Flameに照準を合わせた。昨夏のトライでは、頂上は踏むものの、2ピッチをフリーで登ることができず、全ピッチ・フリーアッセントの夢は打ち砕かれた。

今夏は、兄のアレックス、父親のフランシスコ・マリン、通称ノバート(新米)と隊を組み、6月上旬にはBC着。しかし続く20日間ほどは悪天に見舞われBCにくぎ付け。

woguclimbing.com上の記事によれば、6月24日に登攀を開始した3人組は、6月30日には標高6000m地点にあるスノー・レッジまでロープをフィックス。7月1日から4日にかけて、そこから数ピッチをフリーで登ったものの、悪天を告げる天気予報に、アレックスとフランシスコはBCまで下降。エドゥだけは、ワンプッシュでのフリーアッセントを夢見て、強風と寒気に耐えながら標高6000m地点に張ったテントに独り残る。

7月16日にアレックスとフランシスコはフィックスロープを登り、エドゥと合流。エドゥは翌日から、圧倒するように聳え立つヘッドウォールへの挑戦を再開。19日には核心である7c+とされる最難ピッチをレッドポイント。後に彼は8aに感じたとコメント。そして7月20日に登頂。下降時に、登る際に後に残した7aと7bの簡単な2ピッチをフリーで登り返す。21日はスノー・レッジでレストし、24日には無事BCに帰着したようだ。


13ピッチ目(7a)を登るエドゥ

エドゥは登頂後、インスタグラムに次のように投稿している。

「ついにやった!Eternal Flameを初めてフリーで再登することができた。壁の中で28日間過ごしながら、ワンプッシュで登ったのだ。たぶん私が、初めてルート上の全ピッチをフリーで登ったクライマーだろう。父と兄には、大いに感謝している。彼らの助けなしには、この夢の実現も可能ではなかっただろう。彼らも最後まで闘った。3人一緒にネームレス・タワーの頂上に立てたなんて、信じられない。登頂までの一部始終を映像に記録することができたので、近いうちにビデオで見てもらえることだろう。モンチュラのサポートのおかげで、壁の中でも快適に過ごせた。さて、やっと家に帰る時が来た。くたくただけど、ハッピーだぜ。Eternal Flameは、新たな道の始まりなのだ。詳細は乞うご期待!」

彼らは、今現在はアスコールの町への帰路の途上だろう。さて今回のエドゥのクライミングはもちろん素晴らしいパフォーマンスではあったが、その一方で、父親のフランシスコまでが頂上を踏んだことには、まったく脱帽する。何と言っても、彼は御年70歳なのである

フランシスコ(父)、エドゥ、アレックス(兄)

ヤコポ・ラルケル、バルバラ・ツァンガール、Eternal Flame、フリー再登

David Yarwood  訳=羽鎌田学

2022年7月23日、バルバラ、通称バプシ・ツァンガールとヤコポ・ラルケルの2人が、パキスタン、カラコルム山脈にあるトランゴ・タワーズのひとつ、ネームレス・タワーの名でも知られるトランゴ・タワー(6239m)南壁のEternal Flame(VI、7c+/5.13a、650m)をフリーで登ることに成功した。当ルートは、標高6000m以上に位置する世界最難フリークライミング・ルートの一本として広く見なされている

バプシとヤコポのペアは、7月18日から23日にかけての6日間で全24ピッチのそれぞれをフリーで登り切った。彼らは登攀中に一度もフォールを喫することなく、取付きから頂上まで正真正銘の継続的なワンプッシュでのクライミングを達成した。このスタイルで当ルートを登ったのは、彼らが初めてとなる

今回、最初の2ピッチを除いて、すべてのピッチをオンサイトで一撃したと言える。取り付きからの2ピッチは、2021年夏の前回の遠征時に、既に登ったことがあったのだ。ただ当時、この2ピッチも彼らは一撃している。

バブシ・ザンガール、ヤコポ・ラルケル Paolo Sartori, Black Diamond

バプシとヤコポは、登攀に際し各ピッチを交互にリードしていく方法を採用。ただし、最難とされる4ピッチ(7c~7c+)は、各自がそれぞれリードすることにした。なお、すべてのナチュラル・プロテクションは設置しながらリードした。そして、彼らは6日間かけて、1ピッチずつ正しい順番でフリーで登っていったのである。

登攀2日目、3日目、4日目は、暖かい日差しが雪と氷を溶かし、ルートを濡らしたため、限られた高度しか稼ぐことができなかった。しかし彼らは辛抱強く前進する道を選び、5日目にもたらされた好条件によってそれも報われた。その日彼らは、頂上までの簡単な3ピッチのみを残す地点まで一気に駒を進め、翌日無事に頂上に到達したのである。以下はバプシとヤコポの生の言葉である。

「Eternal Flame、夢は叶った!」

「標高6240mの驚くほど美しいトランゴ・タワーに引かれた信じ難いほど素晴らしいライン」

「今までほとんど見たことのない5つ星ピッチの連続、しかも核心部は6000mを超える。なんと壮大なクライミング!」

「2人共、太陽に焼かれ真っ黒で、へとへとだ。でも、この象徴的なラインを登ることができて最高に幸せな気分」

「今はバースキャンプで休養し、この美しい国での最後の日々を楽しむ時だ」

「エドゥも夢を実現できて、最高におめでとう!」

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