デイブ・グレアム Eualase V16初登、「今までに登った最難課題の一本」

 
 
 
 
 
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gripped.com  訳=羽鎌田学

20年以上にわたりアメリカのボルダリング・シーンを率いてきたデイブ・グレアム(40才)が、今シーズン、スイスのティチーノで最新のプロジェクトを完成させた。新たな課題の名はEuclase、グレードはV16。手数は19、足数は21、そして4ヵ所のニーバー。

デイブは、次のように言う。「今までに出会った最高にテクニカルな一本で、これほどまでにトウフック、ヒールフック、ニーバーと、特にフットワークの能力を試された課題はなかった。難解さに加え、トップアウトするためにはクリンピー、かつ絶対に落ちてはいけないパートを登らなくてはならない。それがメンタル的な要素を課題に付け加えている」

デイブ・グレアムは、20年以上にわたり世界のトップに立ち続けているクライマーのひとりだ。1997年にアメリカ合衆国本土最東北部に位置するメイン州で生まれた彼は、当初所属していたスキーチームの仲間に誘われ、クライミングを始める。そして一年後には、5.14aのスポートルートThe Presentを登り、短期間で世界最強のクライマーの一員として認められるようになった。

2005年には、ヨーロッパに渡り、スイスのクレシアーノでThe Story of Two Worlds(V15)を初登。2020年秋には、スペインのロデジャールでAli Hulk Sit Start Extension Total(5.15b)を第5登。直近の一年間には、V15以上の課題を数本登っている。

今回の完登後、彼は自身のインスタグラムに次のように綴っている。

「Euclase(8C+)初登。4月20日、ティチーノで最新のプロジェクトを完成させた。今までに登った最難課題の一本。このラインを見つけたのは2005年。それ以後、多くのシーズンをかけて手を出してきたが、この冬にバヴォーナに戻ってきて集中的に取り組むまでは、すべてのムーブを繋げる手段を一向に見つけられないでいた。一見シンプルな課題だ。ホールドは豊富で、ほとんどはそこそこのやつだ。

ただすべてのホールドがちぐはぐな向きになっていて、フットホールドは、ハンドホールドに対してうまく使える場所になかった。すべてのムーブの繋げ方を解明するのに10セッション費やし、その後自分の変化に合わせた微調整にやはり10セッション費やした。手垢にまみれていない岩にはっきりと刻まれた凹凸、ホールドを巡る迷路のようだった。手数は19、足数は21、ニーバーを利かせるところが4ヵ所で、それぞれのボディポジションをどのように繋げていくかが勝負どころだった。

今までに出会った最高にテクニカルな一本で、これほどまでにトウフック、ヒールフック、ニーバーと、特にフットワークの能力を試された課題はなかった。難解さに加え、トップアウトするためにはクリンピー、かつ絶対に落ちてはいけないパートを登らなくてはならない。それがメンタル的な要素を課題に付け加えている。他のプロジェクトはすべて完登できたが、これだけが唯一残っていた。30セッション目ぐらいで、季節的に珍しい熱波の最中ではあったが素晴らしい状態になった日に、最後のムーブで不意に落ちてしまった時、ショックで茫然として、これで今シーズン最後のチャンスを逃してしまったのだ、と考えこんでしまった。

課題は染み出しやすい岩にあるので、雨は真の敵。次第に近づく嵐の気配、繰り返し使う核心の3本指ポケットのせいでできた薬指の深い傷、確率的に成功するチャンスは非常に限られていた。かつて、自分のクライマーとしての経験が、ある瞬間に凝縮するようなことを感じたことはなかった。

でも今回、念願のプロジェクトを完登した日が、まさにその時であったかもしれない。天気はつかの間の小康状態が望めそうだ。指先の傷も、あと一回のトライには耐えるだろう。ともかくやってみようとスタート。心の中は不安だらけだったが、なんとすべてのシークエンスをこなし、最後まで集中しハイボールの上に立つことができた。たぶん課題は私のスタイルに合ったものだったかも。何か大きな見落としをしていない限り、かつて登ったことのある課題に比較してつけたグレードに自信はある」

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