門田ギハード、アイスクライミング世界選手権で5位入賞

写真=Slobodan Mišković

2月16日~18日、UIAAアイスクライミング世界選手権がカナダ・エドモントンで開催された。2023年シーズン最終戦、そして2年に1度の世界選手権ということで世界各国から多くのアスリートが参加した。

その中で門田ギハードが、2019年のW杯デンバー大会以来となる5年ぶりの決勝へ進出し、日本男子の歴代最高位となる5位入賞を果たした。

ウォール全景 

日本からは、男子2名、女子3名が参戦。会場は初開催のカナダ・エドモントンの中心街。高層ビルに囲まれた公園に特設された19m×27mのコンペ壁が勝負の舞台。両側が緩傾斜壁、その先の大きなキューブがぶら下がったルーフ。それを越えると強傾斜壁が待つという構成。ルーフは固定されておらず揺れる構造になっており、北米らしいエンターテインメント要素の詰まった壁だ。

予選はフラッシュ方式で2本、セミファイナル・ファイナルはオンサイト方式で1本。門田は予選を39人中6位で通過。中島正人も同じく6位でセミファイナルへ進んだ。

予選、キューブをフィギュア4で渡る門田 

16名で競うセミファイルの課題は、W杯の中では比較的登りやすく、多くの選手が上部の強傾斜まで達していた。しかし、アイスクライミング競技最大の敵とも言うべき「厳しい制限時間」に阻まれ、タイムアップする選手が多かった。

門田は安定した登りで序盤の緩傾斜、中盤のルーフを越えていった。後半は疲れが見えたものの、Topホールドへの大ランジまで到達し、準決勝8位。この瞬間、自身5年ぶりとなるファイナルへの切符を手に入れた。

ファイナルの課題は驚きのスタートだった。男女ともに5mほどの氷壁を登り、てっぺんの「氷のお立ち台」立ち上がり、空中にぶら下がったキューブについているホールドにアックスを引っ掛けて、逆上がりのように乗り移り、フィギュア4を駆使して空中移動するというもの。

男子はその後、緩傾斜へ移り、ダウンクライミングを交えながら登っていき、揺れるルーフ帯に入り、最後はお決まりの大ランジ。

ファイナル、核心となったルーフセクションを登る門田

門田は男子1番目のスタート。氷壁、キューブ、緩傾斜を安定して突破したものの、ルーフでのフィギュア4の際、ロープ処理に苦戦し、時間と体力を消耗。上部強傾斜に入ったところでフォールした。

他の選手も、この揺れるルーフセクションで苦戦していたが、韓国のYounggeon LEE選手だけは難なく突破。そして、最後の豪快なランジも決め、予選、準決、決勝とすべて完登しての優勝を決めた。

以下は5位となった門田のコメント。

「上位8名だけが闘えるファイル。その舞台に5年ぶりに立つことができて本当にうれしかった。今シーズンW杯初戦の韓国大会、前年のスイス大会、その前も……ずっと9位止まりで、あと一歩ファイナルに届かないという状況が続いた。とても辛かったし苦しかった。もうここまでなのかなと挫けそうになった時期もたくさんあった。

それでも、クライミング仲間や応援してくれる多くの方々のおかげで前を向いて頑張ることができた。そして、ファイナルが決まった瞬間、韓国やアメリカ、スペインなど各国の選手やセッターさんもみんな駆けつけてくれて一緒に喜んでくれて本当にうれしかった。

ファイナルの登りで、ミスやロスをしたのは今の自分の実力が足りてない証拠。上位にいくには純粋なクライミング能力の向上が必要だと痛感した。アイスクライミング競技も若い世代の台頭が目覚ましく、今回の男子ファイナリストも20代がほとんど。最年長が35歳の自分だった。それでも、最高位を更新できた。まだいける。もっといける。絶対にいける。自分の可能性を信じてこれからも頑張っていきたい」

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