ジャヌー北壁、初のアルパインスタイルでの完登なる

planetmountain.com
訳=羽鎌田学

2023年10月7日から13日で、マット・コーネル、ジャクソン・マーヴェル、アラン・ルソーの3人の米国人クライマーがジャヌー北壁(7710m)をアルパインスタイルで登った。彼らが「ラウンド・トリップ・チケット」と名付けた標高差2700mのラインは、M7 AI5+ A0と推定される壁を突破するものだ。「先見性に富んだ」、そして「ここ数十年で最高のアルパインクライミングかもしれない」と称賛を浴びた。

トリオは、10月7日早朝に標高7710mの頂を目指して登り始め、12日に登頂した。そして、ほぼ登頂ライン沿いを下降したが、途中もう一晩のビバークが必要だった。

新ルートは「ラウンド・トリップ・チケット」(往復切符)と名付けられ、標高差2700mでM7 AI5+ A0とみなされる難壁を登る。登頂ルート最後の200mは南西稜ルートを辿り、また標高7000mまでは2004年にアリクサンドル・アディンツォフが率いたロシア遠征隊が執念で拓いたルート、ロシアン・ダイレクトを登った。当時ロシア隊は固定ロープを張りながら、カプセル・スタイルで登っている。

アランは自身のインスタグラムの中で、「私たちにとって最も傾斜が強く、最も困難なセクションは、(ロシアン・ダイレクト・ルートから分かれた)7000mから7500mまでだった。巨大な北壁に組み込まれたこの部分は、これまで誰にも登られていなかった。私たちはここで、これまでに参加した遠征では味わったことのない強烈で素晴らしいミックスクライミングを体験した」。彼らの登頂成功は、過去2回の挑戦の失敗を経てのもので、1度目の挑戦は2021年にジャクソン・マーヴェルとアラン・ルソーが、2度目のそれは2022年にアラン・ルソーとマット・コーネルが行った。

彼ら3人は、過去にアラスカのルース氷河にあるマウント・ディッキー東壁のエイム・フォー・ザ・ブッシーズなどレベルの高いルートを一緒に登ったことがあるが、彼らは各自の経験を融合し、それを活かして登攀を成功させていた。今回のジャヌーでの登攀についても、「私たちは登攀という事象に飲み込まれ、個体である意味を失っていた」と、マット・コーネルは語っている。詳細の発表が楽しみだ。

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