村井隆一、ロックランズのLivin’ Large(8C+、V16)再登

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訳=羽鎌田学
写真=島谷尚季

村井隆一が南アフリカ・ロックランズのLivin’ Large(8C+、V16)を第4登した。この課題は、2009年にナーレ・フッカタイバルによって初登され、発表当時、彼がつけたグレードは8Cだった。この高さ8mのボルダー課題は、トップエンドのボルダリングとハイボールのそれとが融合した最初の例のひとつである。

Livin’ Largeは、2015年にジミー・ウェッブの手によって第2登されており、彼はナーレの初登を「ボルダリング史上最も印象的なパフォーマンスのひとつ」と評している。2018年にはショーン・ラブトゥが第3登を果たし、当時彼は今回村井が完登と同時に言及したグレードである8C+へのアップグレードを提言していた。このアップグレードにより、Livin’ Largeは、2008年にクリスチャン・コーレが初登したGioia(8C+)に次ぐ、史上2番目に誕生した8C+ボルダー課題となった。

Livin’ Large完登は、目覚ましい成果を挙げた今回の村井隆一のロックランズ・ツアーの最後を飾るものとなった。その中で、彼はすでに3本の8B+課題と1本の8C課題、Monkey Weddingの再登に成功していた。彼はまた、ダニエル・ウッズ初登のEl Corazón(8A+/8B、 V12/13)も登っている。このEl Corazónの核心ムーブ、左右に圧倒的に遠い2つのクリンプ間のダイナミックなフルリーチムーブは、村井が身長わずか167cmであるということによって、一段とチャレンジングにしたことは間違いない。

最大の目標を達成した村井は、インスタグラムでLivin’ Large完登のニュースをシェアし、次のように語っている。

「最高に嬉しいよ!今ツアーの最大の目標を達成したんだ! 高さ8メートルを超えるこのラインは、当時、リアル・ビッグ・プロジェクトと呼ばれていた。過去にこれにトライしたクライマーたちが3階のバルコニーと同じくらいの高さから落ちていたことを想像すると、とても威圧的だった。前半はフリクションが良いスローパーを使ったコンプレッションムーブで構成され、後半は繊細なフットワークを要求されるメンタルバトル(V11ぐらい)だった。完璧なコンディションでトライできるのは、早朝(9時まで)、夕方(17時から)、または曇りの日だけだった。

しかし、アプローチに45分かかるので、早朝トライではウォーミングアップの時間が足りなくなる。夕方は岩が冷えてから日没までの時間が短いので、結局曇りの日がベストとなる。フリクションのせいで、指皮へのダメージはかなり大きかった。トライするとしたら、2、3日のレストを挟まなければならなかった。だから、ツアー終了間際のこの曇りの日が最後のチャンスだった。

この日は最高のコンディションで、2回目のトライではすべてのムーブが完璧に決まった。目の前のひとつひとつのホールドに集中し、高さからくる恐怖も感じなかった。最後のムーブでミスしていたら、本当に最悪の結果になっていただろう。もちろん登れてよかったけど、それ以上に落ちなくて良かった。長いアプローチにも関わらず何日も付き合ってくれたツアーのメンバーに感謝すると同時に、この最高の課題を設定してくれたナーレ・フッカタイバルに大いなる敬意を表する!」

村井隆一は今年、すでに2本の8C課題とやはり2本の8C+課題を再登し、絶好調のようである。Livin’ Largeは、彼にとって通算7本目の8C+課題で、そのうちの3本は未だ再登者の出ていない初登課題でもある。

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