万江川渓谷の現状

樋口義朗

2020年にこの岩場を有する熊本県山江村、人吉地方は未曾有の大水害に見舞われ、甚大な被害を被った。当然、岩場へのアプローチとなる道路は通行止めが続き、時を経て通行止めが解除になった後は、駐車場となっていた場所にあったトイレと近くの白嶽神社流されてしまって跡形もないという噂が流れてくるだけで、真意のほどは全くつかめなかった。

その後も、岩場を訪れたクライマーはいたかもしれないが、コロナ禍に同時期から見舞われ県を超えての移動が規制される中、岩場の状況及び岩場へのアプローチの情報が公に発表されることはなく3年の月日が流れてしまった。コロナとの共存の元に社会が動き出した中、我々は3年ぶりにこの地を訪れることにした。

訪れるにあたって、この岩場のヌシ的な存在である古川二郎氏に連絡を取り現在の状況を聞いてみることにした。古川氏は10月にやはり岩場に偵察に行こうとしたらしいが、白嶽神社駐車場手前の平川商店跡地で道路工事のために通行止め(進入禁止)の看板が立っており、そこから先、行くことは断念したとのことであった。しかしながら、通行止め付近から川床に降りて渡渉すればアプローチできるかもしれないという情報をいただくことができた。この情報は非常に有り難く、心の準備をして、万江川の岩場を目指すことができた。

①通行止め(進入禁止)の看板が建てられている平川商店跡

やはり、情報の通り平川商店跡地には看板が立っており、我々はその手前に車を止めて、渡渉の準備をしてしばらく車道を歩いてみることにした。工事現場に行き着く前、平川商店跡地から200mほど先で、土砂崩れ跡を工事で渓谷側に押し出した斜面があり、そこを5mほど降ると簡単に川床に降りることができた。

②川床への下降地点

③下降地点を川側から見た所

そこからは短い膝下の渡渉で対岸に渡ることができた。渡着いたところは、岩場へのガレの急登の始まるところでもあり、渡ってすぐ右の斜面(樹林帯)に入れば10分ほどでルート取り付きに達することができた。


④短い膝下の渡渉をしている所

以前の白嶽神社駐車場からのアプローチと比較すると10分〜15分短縮することができるアプローチだ。念のために樹林帯にはわかりやすいように数箇所白テープを巻いておいた。

12月10日、11日現在、岩場のルートの方は何の問題もなく、どのルートも快適にトライできる状態であった。11日は日曜日ということで工事も休みであったために、帰りしな、さらに上流の偵察を行った。

流されたという噂の白嶽神社もトイレも流されてはいなかったが、トイレは使用禁止のテープで周囲巻かれていた。さらに上流の方が今現在の工事の中心地であるようですたくさんの重機が置かれていた。

長崎県の野岳の岩場同様、災害の復興は住人の生活に大きな影響を及ぼしている地帯(街中)から工事の手が入るため、山間部はかなりの時差を持って復興の手が入っているようだ。

野岳の岩場も土砂崩れの発生部である岩場の上部の工事がやっと終わったと聞いている。今からは、野岳に至る道路の工事が始まるとのこと。万江川の岩場付近も今後工事が進んでいくのであろう。

注意:進入禁止の看板のある平川商店付近の駐車場所は50mほど下の路側帯が若干広くなった所においた方が良いと思われる。
左右10台ぐらいは停めれそうであった。止める場合はくれぐれも端に寄せて止めるように。大型の工事車両や伐採した木を運搬する大型車両も通るので通行の支障にならないように努めてほしい。

なお、渡渉地点付近にあったごえもんキャンプ場は流されてありません。また、下流の尾寄崎(およりさき)キャンプ場も水害の影響で現在は使用できないようです。

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