ショーン・ラブトゥ2本目のV17/9A、Megatronに成功

Nick Brown  ukclimbing.com
訳=羽鎌田学

ショーン・ラブトゥがコロラド州エルドラド・キャニオンにある9A(V17)とされるMegatronの完登を公表した。彼のこのプロジェクトの成功は、クライミング界では既に半ば公然の秘密で、この8月に彼がもうひとつの9A課題であるAlphaneを春に登ったことを公にするとたちまち、それに先立つ冬には別の9A課題を登っているという噂が流れていた。このMegatronのグレードが確定された暁には、ショーンは9A課題を2本登った最初のボルダラーとなる。

遡ること2017年、ダニエル・ウッズが、今回ショーンが成功した課題のスタンドスタートを登り、Tronと名付け、8B+(V14)とグレーディング。4日間かけてスタンドスタートのTronを初登した彼は、自身のInstagramで次のように説明している。

「ポジティブなホールドを使ったパワフルなムーブなのだが、すべてのホールドの向きが悪いので、コンプレッションの効かせ方が複雑怪奇になってしまう。またフットホールドも高くて、使いにくい。本来のプロジェクト課題の1/3ぐらいができたことになるので、あとはシットで始めるパートをスタンドのパートに繋げるだけだ」

 
 
 
 
 
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その後2020年には、ダニエルは、シットスタートのパートは確実にV15(8C)はある7手からなり、それをレストなしでTronに加えることになると説明。ただし、そのプロジェクトに時間を割いていたのはダニエル・ウッズだけではなかった。ドリュー・ルアナは米国のソーシャルニュースサイトReddit上で、同プロジェクトに75日以上を費やし、上部の核心まで繋げて登ることができた、と述べていた。そして彼はその課題がダニエル・ウッズ初登のV17(9A)、Return of the Sleepwalkerより一段上のクライミングになると考え、スタンドスタートまでのパートを次のように説明している。

「指の筋を痛めてしまいそうな極悪のクリンプとアンダークリングを使った、トータルでV15からV16ぐらいはある7つのムーブにばらすことができる」

ショーン・ラブトゥがなぜこれほどまでに自身の成果を公表するのに時間がかかるのか、クライミング界広しといえども誰もよく分かっていない。ただ、先日11月18日金曜日にMellowのYouTubeチャンネルにアップされた、彼がMegatronを登る姿を捉えた動画と関係がありそうだ。

Megatronは、世界で5本目の9A(V17)課題となった。1本目は、フィンランドのラップノールでナーレ・フッカタイバルが初登したBurden of Dreams。2本目は、フォンテーヌブローでシモン・ロレンジが登ったSoudain Seul。3本目はレッドロックスでダニエル・ウッズが登ったReturn of the Sleepwalker。そして4本目は、キロニコでショーン・ラブトゥが登った別の9A課題、Alphane。

今のところ、Soudain SeulとAlphaneが、それぞれ2度再登、初登者を含め3人によって登られている。Soudain Seulを最初に再登したニコラ・プロルソンは8C+、次に登ったカミーユ・クデールは9Aとコメント。Alphaneについては、この10月下旬にエイダン・ロバーツとウィル・ボシによって相次いで再登されたが、エイダンは初登者がつけたグレードを追認する一方で、ウィル・ボシは言葉を濁し、次のようにコメントしている。

「9Aなのだろうか?正直言って、わからない。今後、9A相当の高難度グレード課題をもっと登り込めば、はっきりとした見解が得られるかもしれない。でも、いずれにしても、ショーンが初登した素晴らしいラインには変わりない。より経験豊富なボルダラーたちがAlphaneのグレードをどのあたりに定めるのか、彼らのコメントを耳にするのが楽しみだ」

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