イラン第2の高峰、アラム・クーフ山のマルチピッチMountain Warriors

planetmountain.com 訳=羽鎌田学

イラン人アルピニスト、ナシーム・エッシュギーとシナー・ヘイダリは、イラン第2の高峰アラム・クーフ山(4850m)の今まで誰も登ったことのなかった岩峰サン・タワーでMountain Warriorsを開拓初登した。

山岳ガイドでもある両名は、2020年と2021年の夏、2シーズンに渡り、イランの北部、カスピ海を臨むアルボルズ山脈タフテ・ソレイマーン山塊に位置するアラム・クーフ山に注目に値する遠征を行い、現在、国内で最も困難とされる高所クライミングに成功したのだ。

Mountain Warriorsと命名された計5ピッチのルートは、同時にサン・タワーと呼ばれるようになった標高約4250m地点にある人里離れた手つかずの岩峰を登るものである。グランドアップによって開拓され、ランニングビレイには主にナチュラルプロテクションが使われたが、数ピッチで時折ボルトが設置されている。すべてのピッチの終了点にはボルトが打たれ、下降用の支点がチェーンで整備されている。グレードは最難で7c+と推定されるが、彼らによるほぼフリーでの初登はやはり傑出した成果である。

シナー・ヘイダリによると、この岩峰が人目につきにくい場所にあることが、彼らが登った顕著なラインが今まで手つかずのままだった理由のようだ。Planetmountainへのメールのなかで、彼は次のように述べている。

「関心が持たれることもなく手つかずであったのは、その場所がアラム・クーフ山の主氷河と主峰への通常のアプローチから外れているからだ。岩壁は見事な花崗岩で、新ルートを開拓する余地はまだまだ残っている」

Mountain Warriors

1P目=45m(60m) 7b。
壁と、それに張り付いたサメのヒレのようなフレークの間にできたクラックを25mほど登り、レイバックのパートに入る。ビレイポイントまでの最後の15mは非常に大きく開いたオフィドゥスを登る。ここにはボルト4本あり。それ以外はナチュラルプロテクションで登る。このピッチは、氷河が後退する夏場には60mまで伸びるが、スタート地点からの新たに出現したパートの岩もしっかりしている。

2P目=50m 7c+(推定)。
スラブを40mほど若干左上気味に水平トラバースして、垂壁に入る。スラブにはフリーで登るためにボルトを設置したが、まだ完全なフリーでは登られていない。ルート核心。最後の垂壁10mはナチュラルプロテクション。

3P目=50m 7c。
凹角右側の壁が三日月状に見える、ナチュラルプロテクションがバッチリ決まるコーナークラックから始まる。微かに被ったコーナーを30mほど、続いてボルダームーブが現れる垂直のスラブを登ってビレイポイントへ。スラブにはボルト3本設置。それ以外のパートはナチュラルプロテクション。

4P目=25m 6a。
全てのナチュラルプロテクションがしっかり決まる快適なクラック。

5P目=50m 5a。
頂上へ。

同一カテゴリの最新ニュース