- アルパイン
モンブラン山群プティ・ドリュ西壁で新ルートPetit Pont誕生
planetmountain.com
訳=羽鎌田学
2024年12月26日から2025年1月1日にかけて、3人のフランス人アルピニスト、フィリップ・ブリュレ、アモリー・フイヤード、バティスト・オビノが、モンブラン山群シャモニー針峰群にあるプティ・ドリュ西壁で新たなルートを開拓初登し、Petit Pontと命名した。長さ1000mにおよぶミックスルートで、彼らはED M5 6a A3とグレーディングした。
2021年2月にシャモニーに拠点を置き活動するフランス陸軍高山グループ(GMHM)に所属するトマ・オヴァロ、レオ・ビロン、ジョルディ・ノゲール、セバスティアン・ラテルの4人が初登したBASE(1000m, M8+, 7a)に続き、モンブラン山塊のプティ・ドリュ西壁にまたひとつ新しいルートが誕生した。それは、フランス人アルピニスト、フィリップ・ブリュレ、アモリー・フイヤード、バティスト・オビノによって旧年のクリスマスの翌日から新年初日にかけて、7日間で登られたPetit Pontだ。
3人は12月26日に登攀を開始したが、当初予定した取り付きからのライン上には、スペイン人パーティーが数年前の失敗に終わった企ての際に打ったボルトが残されていたので、計画を変更。最初の3ピッチ(M5)はBASEのそれを登り、その後は左上するBASEから別れて直上。西壁でここ20年ほどの間でも2003年、2005年(※)、2011年と数次にわたり発生した大崩落で様相が一変した壁の部分をA3までのエイドで進む。最後は、BASEと同様に、2007年にフランス人アルピニスト、ジャン・イブ・フレドリクセンとマルシアル・デュマが初登したLa Voie des Papasの最終5ピッチ(6a~6c)を登り、31日にプティ・ドリュ頂上に到達。そして翌日にはシャモニーの谷に下山。
彼らはインスタグラムで、「非常に傾斜が強くて密度の高い岩に遭遇し、それをエイドで克服したが、将来的にはフリーで登られるようになるかもしれない」とコメントしている。
(※)この2005年の崩落では、1955年に伝説のイタリア人アルピニスト、ヴァルテル・ボナッティが単独で初登攀した有名な南西岩稜(ボナッティ稜)が完全に消滅している。