ヴォイテク・クルティカが山野井泰史の映画『人生クライマー』に寄せた言葉
ポーランドの世界的クライマー、ヴォイテク・クルティカ©Piolets d’Or
ポーランドが生んだ偉大な登山家、ヴォイテク・クルティカ。ヒマラヤの難峰を厳しいラインからひとつの事故もなく攻略してきた稀代のアルパインクライマーは、山野井泰史が理想とする人物だ。
そのクルティカから、11月25日(金)より劇場公開される山野井泰史の半生をまとめたドキュメンタリー映画『人生クライマー 山野井泰史と垂直の世界 完全版』の感想が寄せられた。
2000年にはK2(8611m)未踏の東壁をともにめざし、今もよき友人である山野井泰史を描いた本作をクルティカはどのように観たのか。コメント全文を原文と合わせて公開しよう。
山野井泰史とクルティカ。『人生クライマー』より ©TBSテレビ
<コメント全文>
I guess you did that film with a lot of passion.
とても情熱のこもった作品ですね。
I think Yamanoi deserves a very special attention in times of comercial and consumptional approach to life. When I look at his face on the poster he reminds me a hero from Kurosawa films. I have a very sensational impression of contact with great faithfulness to most important values in our life. I look ate him and for a while I feel almost purified from the dirt and vanity assaulting us from everywhere. Good to look at him! Yamanoi is for me a sort of faithfull hermit in the great and secret art. It’s sad to realize that so few people understand this art nowadays.
商業主義、消費主義の時代にあって、山野井は特に注目されるべき存在だと思います。ポスターの彼の顔を見ると、黒澤映画のヒーローを想い起こします。人生で最も大切な価値観に忠実に生きる姿に、とても素晴らしい印象を受けました。彼を見ていると、誰もが悩まされているこの世の煩悩や虚栄心から心が洗われて気分が良くなります。
私にとって山野井はこの偉大で秘めたる芸術(※アルパインスタイルでの極限のクライミング)における誠実な山伏みたいな存在です。今となってはこの芸術を理解する人があまりに少ないのは悲しいことですが。
It was a pleasure to see that Yamanoi and Taeko didn’t change at all and look amazingly young. This is somehow, another confirmation of their inner balance.
山野井と妙子が全く変わらずに、驚くほど若く見えるのも嬉しいです。二人の内面のバランスの良さを再確認できたような気がします。
『人生クライマー 山野井泰史と垂直の世界 完全版』(109分/TBSテレビ製作/KADOKAWA配給)は11月25日(金)より、角川シネマ有楽町ほかで全国公開。
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