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イタリアで高難度マルチピッチ・スラブルート(9a、180m、6ピッチ)誕生
gripped.com
訳=羽鎌田学
先日、イタリア人クライマー、アレッサンドロ・ゼニがイタリア北東部ヴェネト州ベッルーノ県ラモーンの町北西に位置するモンテ・コッポロ(2069m)の一角、ヌヴォラ渓谷を臨むアクイレ岩峰南西壁で9a(5.14d)の1ピッチを含む6ピッチからなるマルチピッチWu Wei(ウーウェイ:中国語で無為)を完登したと発表した。
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4ピッチ目がPibe de Oro(ピベ・デ・オーロ:スペイン語でゴールデンボーイの意、ディエゴ・マラドーナの愛称)と名付けられた9aの最難ピッチで、彼が「非常にテクニカルなフリクションスラブ」と呼ぶものだ。
「私がこのスタイルでトライした中で最も難しいピッチのひとつでした。非の打ちどころがない石灰岩壁に引かれた実に美しいラインです。他のベテランクライマーたちにもいつの日か是非ともトライしてもらいたいです」と、彼は語る。アレッサンドロ・ゼニは、Cryptography(9b)やEternit(9a+)などの世界最難スラブを登ったことで知られている。
彼がルートの開拓を始めたのは、2016年。リカルド・スカリアンと共にグランドアップでボルトを打ちながら壁を登り始めた。そして、計15日間ほどを要し、全6ピッチのルートを設定し終えたのは、2021年。アレッサンドロは、後に9aとなるピッチをスカイフックを使わずにボルトを打ちながら登ったと言う。そして、2022年からフリー化を目論み、今夏8月16日に全ピッチを一日でフリーで登り切り、目的を達成した。各ピッチは下から、7c(5.12c/d)、8a+(5.13c)、7c+(5.12d/13a)、9a(5.14d)、7c(5.12c/d)、8b(5.13d)。
「このスタイルのためのベストなトレーニング方法は、スラブを頻繁に登り、小さなクリンプを鍛え、そして動きに磨きをかけることです」と、アレッサンドロは8a.nu上で語っている。
「このスタイルのクライミングが好きなのは、単に強ければいいということでなく、優れたクライマーであること、優れた感性とメンタルアプローチを持つことが重要だからです。このスタイルこそが、私にとって、この美しいスポーツの最大の表現形式であり、同時にひとつのライフスタイルみたいなものなのです」。
とは言いながら、彼はこの秋にはイタリア北東部、スロベニアとの国境に近いジェモーナの岩場で2013年にアダム・オンドラが初登した、アレッサンドロにとっては初の前傾壁での9aとなるであろう9Gと呼ばれるルートにトライ予定だ。
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