【1980年代〜】『岩と雪』から『ROCK&SNOW』の表紙に見るクライミングファッションの変遷

ルート ボルダリング ファッション
2017.09.22
協力=公益社団法人日本山岳・スポーツクライミング協会 文=CLIMBING-net編集部

※本記事はCLIMBING-joy015号の記事を元にしています。

『岩と雪』、『ROCK&SNOW』の表紙を遡ると、クライマーのファッションの歴史が見えてくる。

今では考えられないような奇抜なものも、当時としては誰もが憧れる一大ムーブメントだったことでしょう。1980年代〜2010年までのクライミングファッションの変遷を前半(1980年代〜)、後半(2000年代〜)に分けて紹介する。

1980年代

1、ヨセミテ ボルダー初期

1980
ミッドナイトライトニングを登るジョン・バーカー

1982
四方律・橋本カンテの八木厚紀

1980年、『ROCK&SNOW』の前身である『岩と雪』72号に、ヨセミテの「Midnight Lightning(V8)」を登るジョン・バーカーの連続写真が掲載された。これが異次元の登りを印象づけ、「バーカーショック」と呼ばれて日本のクライミング界に衝撃を与えることとなる。そのときの短パンにハイソックス、上半身ハダカというスタイルが、そのまま日本でも流行。さらにアメリカ文化への憧れからか、頭にバンダナを巻くというのが流行する。

2、ヨセミテ ビッグウォール初期

1983
瑞牆山・春うらら2P目を登る戸田直樹

ヨセミテのビッグウォールクライミングに刺激を受けたクライマーたちが目指したのは、日本国内のクラックを中心とした未開拓の岩場であった。ワイドクラックで体を保護するために、動きやすさより厚さを優先したコットンパンツ(パタゴニア・スタンドアップパンツなど)や分厚いラグビージャージが定番に。

3、オリエンタル族

1984
小川山・金峰山岩の池田功

アメリカに影響を受けつつ、日本独自に発展したスタイルといえるかもしれない。安価で手に入り、花崗岩などの粗い岩場での摩擦にも強く、なおかつ動きやすい柔道パンツ、カンフーパンツ、タイパンツといったブカブカファッションが増える。

4、ジャージ族

1986
城ヶ崎・マリオネットを登る山野井泰史

ブカブカパンツ+上半身ハダカでフリークライマーであることを主張する者がいる中で、アルパイン出身者を中心とした、もともとあまりファッションにこだわらないグループは、もっぱらライン入りトレーニング・ジャージなどを着用していた。

1990年代

5、ピチピチタイツ期

1986
ビュークスのレーヴ・ド・パピヨンを登るマルク・ル・メネレストレル

1991
スミロックのアグロモンキーを登るコリンヌ・ラプリュヌ

80年代後半になると、クライミングの中心がクラックからフェイスのボルトルートへと移行。それに伴い、分厚く動きにくいウエアを着る必要がなくなる。またフェイスルートの難課題が増えるとともに、足元がよく見える服装が求められるようになった結果、爆発的なブームとなったのが化繊のピチピチタイツ。

動きやすく耐久性もあり、クライマーの正統派ファッションとして定着する。必要以上とも思えるような派手な色や柄、体のラインをあまりにもはっきりと浮き彫りにする素材感。当時としては当たり前だったのだろうが、今となっては、クライミングファッション史においてもっともインパクトの強い時代だったといえるだろう。

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