野口啓代に教わるクライミング・ボルダリング前のストレッチ

一見、手と足しか使わないように思えるクライミングですが、あとから出てくるさまざまなムーブ(動き)をするには体のあらゆる部分を使います。当然、柔軟性は重要なファクター。登る前のストレッチは必須項目です。また、ストレッチにはウォームアップの第一段階という役目もあります。

注意する点といえば、痛みを伴わないこと。息を止めないことです。無理をして痛いほど動かしたりすると、筋肉は逆に硬くなってしまいます。息を止めて行なうと血圧が上がりますし、筋肉もほぐれず、むしろ力む形に……。リラックスして行なうことです。

*この記事は『CLIMBINGjoy No.4』より記事を転載しています。
*野口さんはかなり柔軟性が高いほうです。通常はこの8割程度でOK。無理しないでください。

前腕内側

◇伸ばす部分 指と手のひら、前腕前面の筋肉
◇方法 ひじを伸ばし、指の先を持って前腕の前面を伸ばします。
◇内容 この場所には主にホールドを握る筋肉たちがついています。おもしろいことに、指の第一関節を含まずに伸ばす場合と、第一関節を含んで伸ばす場合とでは、ストレッチされる筋肉が違ってきます。クライミングではタンデュをするとき、指の先まである筋肉も使うので、指の先まで持つストレッチ法を行なうといいかもしれません。

前腕外側

◇伸ばす部分 手と前腕の後面の筋肉
◇方法 指や手の甲を包むようにして、ひじを伸ばします。
◇内容 先ほどと逆で、この場所には指や手をそらせる筋肉がついています。あまり強くやると腱が引っぱられて痛くなるかもしれないので加減してください。

アームプル

◇伸ばす部分 肩甲骨まわり、肩、腕
◇方法 伸ばしたい腕を胸の前に持っていき、その腕をもう一方の腕で自分の胸に引きつけるように。引きつける腕を当てるところは、ひじより前腕寄りがいいかと思います。
◇内容 このストレッチでは、伸ばす腕の位置、引きつける腕の引っぱる方向などをいろいろ変えてみると、さまざまな肩周囲の筋肉のストレッチになります。

エルボープル

エルボープル

◇伸ばす部分 脇の周囲
◇方法 伸ばす側の肩を上げ、腕が頭の後ろに来るようにしてひじを曲げます。もう一方の手でひじを持ち、反対の肩の方向に引きつけます。
◇内容 上腕骨から肩甲骨についている筋肉を伸ばします。クライミングをするうえで、体を引きつけるときに使う筋肉です。初心者や、久々にクライミングをする人は筋肉痛になりやすい部分ではないでしょうか?

肩のストレッチ

肩のストレッチ

◇伸ばす部分 伸ばす部分 肩の前面、胸
◇方法 腰の後ろで手のひらを床に向けて手を組み、腕を上げていきます。
◇内容 普段、肩が内側を向き、猫背ぎみのクライマーが多いようです。クライミングをしているときも、どうしても肩が内に入り、胸をそらせるような姿勢にはなかなかなりません。ルーフのときなどは特に胸の筋肉を使います。常に縮んでいる状態の肩の前と胸の筋肉を伸ばしてあげましょう。