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アレックス・メゴス、Change(5.15c)を完登
パリ・オリンピックを終えたばかりの彼は、
わずか5日間でこの歴史的なルートの再登に成功した
gripped.com
訳=羽鎌田学
アレックス・メゴスが、ノルウェーのフラタンゲルにあるハンスへレレン・ケイブでChange(9b+/5.15c)をレッドポイントした。2012年10月にアダム・オンドラによって初登された、世界初の9b+(5.15c)ルートだ。
このルートは2つの明らかに異なるパートで構成されている。その最初のパート、核心で肩を痛めそうなムーブが出てくる1ピッチ目(9a+/5.15a)は、長年にわたり多くのクライマーの挑戦を退けてきた。そして、その上部に9a(5.14d)のピッチを追加し、両ピッチをつないで、合計グレードを9b+(5.15c)に上げたルートがChangeだ。
2020年9月には、ステファノ・ギゾルフィが第2登を達成。その後、2022年8月には、セブ・ブワンが第3登に成功し、グレードを9b/9b+(5.15b/c)と示唆している。ステファノとセブは2人とも両脚にニーパッドを付けたが、初登者アダムはそれを使用しなかったことは特筆すべき点だ。第4登者となったアレックス・メゴスは、9b+(5.15c)としている。彼はニーパッドを片方だけ、右脚に使ったが、ニーパッドを付けて登るのが嫌いなことで有名な彼にとっては珍しいことだ。
「今の気持ちは言葉では言い表せない」と、メゴスはChange再登成功についてインスタグラムで語った。
「フラタンゲルに着いた時も、パリでの落胆が尾を引いていた。休みがどうしても必要だったが、それでも何本かのルートに探りを入れる気持ちのほうが強かった。そもそも自分は登らずに長い間休んでいられるタイプではないようだ。Changeを4日間トライした後、5日目に上下両方のピッチをつなげて完登できた。完登トライ前は、まだどちらのピッチも個別に登れてもいなかったが、本当にいいトライができれば、いきなり2ピッチつなげて登れてしまうような気はしていた。そして、ありがたいことに、取付きから完登を念頭に置いて登った最初の本格的なトライが、その本当にいいトライになったのだ」
「右脚にだけニーパッドを付けたので、最初のピッチの核心はアダム・オンドラが使ったオリジナルの手順より少し楽になった。私のようにニーバーの使い方が本当に下手な場合、最上部はニーパッドを付けてもあまり変わらない。でも、他のところは、もっと負荷が減っているようには感じる。自分は他のクライマーたちのようにニーバーを使った超絶テクをまだまだマスターできていないが(でも、もちろん習得するつもり)。12年も前にこんなルートを初登したアダム・オンドラに脱帽。あたかもクライミング史の一部分を登っているような気分だった」
Changeは、アレックスにとって、3本目の9b+ルートであり、同時に初めての再登ルートとなった。初登ルートとしては、2018年5月にスペイン、マルガレフのPerfecto Mundo(9b+)を、そして2020年8月にフランス、セユーズでBibliographie(9b+)を登っている。その他、今年は新年早々に、スペイン、シウラナで2023年3月にクリス・シャーマが初登したSleeping Lion(9b)を第2登するなど、9b(5.15b)ルートの初登と再登を数多く達成している。