ショーン・ビジャヌエバ、ピート・ウィタカー、アグハ・ギヨメ西壁でAndá p’allá/アンダ・パジャ(500 m、8a)完全フリー初登

desnivel.com
訳=羽鎌田学

ベルギー人とイギリス人のクライマーペアが、アグハ・ギヨメの西壁で8台のピッチを含むルートを完登した。これは、先月にアルゼンチン人クライマーのファク・サウビデッ、ヘレ・カスターナ、サンティ・スカヴォリーニの3人によって開拓されたばかりのルートの完全フリー化と山頂までのエクステンション、フィッツ・ロイ山群で最も技術的に難しいフリールートの完成であった。

アグハ・ギヨメは、ちょうど1カ月前に前出のアルゼンチン人トリオによるAndá p’allá(9P、400m、7b、A0)の開拓初登で話題となったばかりである。彼らは、このルートを「完璧なクラック。時には非常に細いフィンガーサイズから、多用するハンドサイズ、時折現れるフィストサイズのクラックまで勢ぞろい。オフィドゥスは一ヵ所もないかわりに、少しフェイスあり」と説明し、その素晴らしさを強調している。

 
 
 
 
 
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初登時、開拓者たちは、9ピッチ中2ピッチをフリーで登ることができず、A0で通過した。1ピッチは濡れていたからで、もう1ピッチは、このルートでもっともハードなパートで、フリーで登ることはできるだろうが、8aぐらいになるのではないかと推測した。ショーン・ビジャヌエバとピート・ウィタカーはこのラインに大いに魅了され、ピートは自身のSNSで「初登の写真には信じられないようなクラックが写っていたし、写真を見る限り、核心ピッチはフリーで登って8aぐらいにはなるだろうと思いました」と述べている。

完全フリー化を思い立った彼らは、最初の好天期が訪れるや否や、ためらうことなく、Andá p’alláに取付いた。 「ルートは、素晴らしい岩と完璧なクラックで、私たちの期待を全く裏切ることはありませんでした」と、ピートは力説する。彼らの今回のパフォーマンスは、数週間前のことだが、二人がアグハ・ラファエル・フアーレスでやはり最近開拓初登されたばかりのYacaré(450m、7a+)を瞬く間にフリー化してしまったことを想起させるものだ。

懸案事項は、ルートを構成する9ピッチのうち、まだフリー化されていなかった2ピッチであった。先ず、ショーンが4ピッチ目に残されていたエイドの数ムーブを初見で解決しフリー化。次は、ピートが核心となる5ピッチ目を登りだす。「下部は、最初はおそらく必要以上に厄介に感じました。濡れたクラック(イギリスのEグレードで5以上)で、氷を落としながら登らなくてはなりませんでしたので。ところが、その後登るにつれて、フレアしたフィンガークラックが現れ、体勢も悪く、次第によりシビアになっていったのです」。それでもピートは、個々のムーブをフリーで解決しながら、次のビレーポイントまで登る。

続いてショーンも同ピッチのムーブを探り、その後ピートが二度目のトライ。彼は言う。「ノーフォールで登れて、自分でも驚きましたよ!」。最も難しいパートを解決してしまうと、彼らは残りのピッチを登り続け、アグハ・ギヨメの頂上に到達。最上部では、65メートルの凹角沿いに、Padrijoルートのバリエーションを登り、合計で500mのクライミングであった。(初登者たちはPadrijoルートに合流する地点から下降したので、400mのクライミング)。Andá p’alláのグレードについて、ピートは「初登者たちがエイドで登り、フリーならこれくらいになるだろうと推定したグレードはほぼ間違いなく、4ピッチ目は7b、5ピッチ目は8aくらいだと感じました」と述べている。

開拓者のアルゼンチン人トリオがつけたルート名は、昨年12月にカタールで行われたサッカー・ワールドカップ準々決勝後のアルゼンチン・チームのリオネル・メッシに対するインタビューの際に、彼が近くを通りかかった対戦相手のオランダ・チームの選手に放った暴言、“¡Andá p’allá, bobo!”「失せろ!馬鹿野郎」から取ったと言う。

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