ダニエル・ウッズ、世界2本目のV17課題 Return of Sleepwalker 初登!

Michael Levy
climbing.com
訳=羽鎌田学

「みんながやってるゲームだよ。同じように、俺もそれをやってるんだよ」と、ダニエル・ウッズは世界で一握りもないV179A課題の完登を告げるインスタの投稿の中でコメントし、続ける。「で、ゲームを攻略するポイントは、自分の中の狂気とどうやって気楽に付き合っていくか、ってとこにあるんだな」

 
 
 
 
 
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2010年代初めの5年間ほど、ダニエル・ウッズを凌駕する者は誰もいなかった。当時、世界最強のボルダラーだった彼は、行く先々でエリア最難課題を再登し、またボルダー最難グレードの基準となる様々なテストピース課題を設定していた。もちろんその後も、たとえば2018年に初登したBox Therapy(V16)を筆頭に、複数のV15、V16課題を初登し続けてはいたが、彼とその他の強者との差は縮まるばかりであった。その彼を追い上げ、そして時には乗り越えてしまう強者とは、ジミー・ウェッブ、ジュリアーノ・カメローニ、ドリュー・ルアナ、ショーン・ラブトゥといった面々である。

しかしながら、先日の3月30日、若干彼の姿が霞んでいたここ数年の時間が一気に吹き飛んだ。その日、ダニエル・ウッズ(31)は、米国ネバダ州レッドロック・キャニオンで、2018年にジミー・ウェッブが初登し、ウッズ自身もほどなく再登したV16課題、SleepwalkerのロースタートであるReturn of the Sleepwalkerの初登に成功したのだ。彼は新たな課題をV17とグレーディングする。ダニエル・ウッズ、レジェンド再来の瞬間であった。

V17(9A)といえば、つい最近まではほとんど架空の存在であった。世界で初めてそのグレードを使ったのは、ナーレ・フッカタイバル。2016年にフィンランド、ラップノールで長年のプロジェクト課題に成功した時だ。そのBurden of Dreamsと名付けられた課題は、未だ再登されていない。その時以来、先日3月30日までは、V17(9A)とグレーディングされた課題はそれ以外に2本しかなかった。フランス、フォンテーヌブローで裸足のボルダラー、シャルル・アルベールが初登したNo Kpote Onlyと、やはりフォンテーヌブローでシモン・ロレンツィが今年早々に初登したThe Big Island Sitだが、両ルートとも既に再登され、グレードについて再登者たちはV16が妥当であろうとコメントしている。

ウッズがトライを始めたのは、2019年1月下旬から2月上旬のこと。オリジナルバージョンのSleepwalkerを登った直後である。当時のインスタで、彼は以下のようにコメントしている。「シットスタートからV12はある3手をこなしてSleepwalkerのスタンディングスタートへ。1手目が核心。右手を細い割れ目に飛ばして、エッジをとらえるムーブが超確率悪し。10回やって成功するのは1回ぐらい。いままでこんな難しいやつはなかったほどだ。もうそのムーブにうなされてしまうよ」

そして今回3ヵ月ほど前に、シーズンたけなわのレッド・ロックに彼は新たな活力と決意とともに舞い戻り、Sleepwalker-Sitへのトライを再開。課題の難しさに改めて気づいた彼は、アルコール、マリファナ、タバコ、そしてコーヒーまで絶ち、ホテルを引き払いキャンプ生活をしながら、週4日のペースで山間の岩だらけの悪路を車で駆け登り、そしてトレールを歩き、まさに課題に取り憑かれたかのようにトライを重ねた。そして、やがて少しずつではあるが着実な進歩を遂げ始め、彼のキャリアの頂点を極めることになるであろう、V17課題に遂に成功したのだった。

Return of the Sleepwalkerトライ中の動画

 
 
 
 
 
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