野村真一郎、福島・稚児舞台で餓鬼道/Gakidō(六段/V16)を初登

野村真一郎が2022年3月20日、福島・阿武隈川沿い稚児舞台のプロジェクトを完登した。以下は野村によるその経緯。

10年以上前から東北の極悪ラインとして存在していた稚児舞台プロジェクトを、ついに完成する事ができました。

2021年1月29日、 #session1
まずはこのプロジェクトとの初対面。噂に聞いていた通り核心の3手目取りはポジションもないし、手も悪すぎるしでまったく歯が立たず。さらに初手取りも普通に悪い。言ってしまえば、人間ができるような印象は受けなかった。自分の中での五段は、頑張ってムーブを探っていればいつか自分に合うポジションが頭で理解できてムーブがバラせるというイメージだったので、そのさらに上を行くヤバいラインだという印象で終わった。

2022年3月17日、 #session2
トライ初日からかなり経ってしまったが、頭の片隅にほんのり常駐していたこのプロジェクトに久々に行こうという気になった。この一年ちょいの間で12本も五段以上の課題を登ったし、Locaの初登やFloatinへの挑戦もしてきたので、それなりに自分がステップアップしてる自信はあった。

久々のトライではホールドの持ち感は前よりも良く感じたが、やっぱり3手目をタッチすらできない。タッチしたとしても次のホールドは横向きなので、全く捉えられるビジョンは見えなかった。しかし、他のラインを探し出すほどに諦めていた頃、適当に一便出してみたら突然かなり惜しいトライができた。その時に得たのは右手右足の二軸でコンプレッションするという感触だった。コンプレッションすると言っても右足はかなり悪いのでそんなんでポジション作れるわけないだろうと思いながらも、その感触のままとりあえず連続トライしていたら、遂に3手目が止まった。

2022年3月20日、 #session3
謎の感触を忘れないまますぐに戻ってきた。初めのトライからやっぱり好感触で、気合いを入れたその日3トライ目で登れた。

正直言語化できるほど、まだ全然このポジションについては理解できていません。もしかしたら、そんなに難しいムーブでもなくこれから再登が沢山出るかもしれないけど、僕がこの一年ちょいの期間に得た何かしらでこのムーブの成功に至ったのは間違いないと思います。このプロジェクトはもう終わってしまったけど、今回の感触が言語化できるようこれからまだまだクライミングを追求していこうと思います!

何はともあれ、このめちゃくちゃかっこいいプロジェクトを初登できた事がマジで嬉しいです!グレードについては変動の可能性も高いと思いますが、プロジェクトとして残っていた期間の長さもふまえて、V16を提唱してみます。

■国内のV16課題
2017年4月「那由多」下呂(小山田大)
2019年11月「United」 瑞牆(村井隆一)
2021年10月「Nexus」塩原(村井隆一)
2021年12月「Floatin」瑞牆(村井隆一)
2021年12月「ハルシネーション」鳳来(伊勢一真)
※オリジナルV15 2003年12月(小山田大)
2022年3月「餓鬼道」稚児舞台(野村真一郎)

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