トップ・クライマーたちによって編成されたチームが、グリーンランドで25ピッチの新ルート(8b/R/A2+)を初登

gripped.com
訳=羽鎌田学

ピート・ウィタカー、ジュリア・カスー、ショーン・ウォーレン、ショーン・ビジャヌエバ・オドリスコールといったベテランのビッグウォールクライマーたちによって編成されたチームが、グリーンランドのミラー・ウォールで新たな25ピッチ、計1000mの初登に成功した。

彼らの新ルートは、当初遠征に参加予定だった故倉上慶大を偲んでRyu-shin「龍心」と名付けられ、8b/R/A2+とグレーディングされた。彼らは43日間(7月29日から9月9日まで)におよぶ遠征でこのルートを登攀した。壁の中での滞在は、レスト2日を含めて19日間。また岩峰が位置するグリーンランド東部のレンランド半島を擁するスコアズビー湾まではヨットで航海した。ショーン・ビジャヌエバは2023年にも他の3人のクライマーと共にこのルートに挑戦したが、途中のブランクセクションでボルトラダーとなりそうなのを忌み嫌い、敢えて撤退の道を選んでいた。

ピート・ウィタカーは「ケイタは龍心という尺八奏者の名前(都山流の中伝終了者に師匠から与えられる竹号・芸名)を持っていました。英語では『龍の心』と訳されます。この登攀は彼を偲んでのものです…。岩峰の頂を目指して、一先ず私たちはルートを7b+/R/A2+で登りましたが、25ピッチ中16ピッチは完全にフリーでした。登頂後、下降しながら更に1週間壁で過ごし、8bまでの6ピッチをフリー化し、Rの付くパートも何ヵ所か追加しました。ただし3ピッチはフリー化できませんでした」と語っている。

ミラー・ウォールは、2012年の7月中旬から8月中旬にかけての遠征期間中にバジル・ヤクシュ、クリスチャン・レーダーガーバー、シルヴァン・シュプバッハ、ヴェラ・ライストらのスイス・チームが北西壁両脇のリッジにそれぞれ一本のルートを開拓初登し、Ledgeway to Heaven(1200m、7b+/A1/45°)、Midnight Solarium(1100m、7b/45°)とした。

その後2015年夏には、イギリス人クライマー、レオ・ホールディング率いる、ジョー・メーレ、マット・ピクルス、マット・パイクロフト、ウォルドー・エザリントンらが、圧倒的な正面壁に新ルート、Reflections(1250m、E6 6b, A3+)を開拓初登した。

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