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エリアス・ヤニェンマ、The Big Slamm 9A(V17)を初登
Aaron Pardy – gripped.com
訳=羽鎌田学
2025年1月16日、イタリア人ボルダラー、エリアス・ヤニェンマは南イタリア(※)でThe Big Slamm V17/9Aを初登した。これは彼にとって2本目の9A課題完登で、1本目はナーレ・フッカタイバルのBurden of Dreams第4登である。The Big Slammを登るのに、エリアスは1年半にわたり35回のセッションを要したと言う。
この砂岩の課題は、8A(V11)ムーブに別の8A(V11)ムーブが続き、その後、8B/8B+(V13/14)のパートに入るという構成だ。「外的なコンディション、自分のメンタル、フィジカルの間での本当にクレイジーな戦いだった」と、彼は語っている。
「身体、クライミングシューズ、指皮の細かな組織といったあらゆる部分が、砂岩表面の極小ホールドに完璧にフィットしなければならない、信じられないくらい高い精度が求められるクライミングです」と、彼は続ける。
「グレードについては、V17/9Aはあると感じています。強度自体はBurden of Dreamsとほぼ同程度なのですが、環境要件ははるかに厳しいです。なぜなら、The Big Slammは、常に湿度が大変高い谷の中にあるので、登るのに適した条件を見つけるのが非常に難しいのです。私は今回の成果と、それをクライミング・コミュニティ全体と共有できることに大変満足しています。とは言え、先ずはトップクラスのボルダラーが南イタリアへの素敵な旅行を決意してくれることを願っています」
エリアス・ヤニェンマはイタリア最強のボルダラーの一人だ。2024年3月には、非常にユニークなベータ(手順)を考え出して、世界初の9A課題であるBurden of Dreamsの第4登に成功した。そのBurden of Dreams完登の前には、今回登ったThe Big Slammと同じエリアにあるGanesh(8C+)の初登(2022年2月)や、リグーリア州サヴォーナ県ヴァラッツェでクリスチャン・コーレが2008年に初登したGioia(8C+)の第5登(2021年2月)など、数本の8C+課題を登っている。その他、主にスイスとイタリアで8C課題と8B+課題を数多く登っていて、近年はボルダリングに専念しているが、ロープをつけてのリードクライミングでは、アブルッツォ州のヴァド・ディ・ソーレの岩場でTen(9a/a+)、ラツィオ州のグロッティの岩場でUltimo Tango a Zagarolo(9a/a+)を、それぞれ2019年と2020年に初登している。
※詳しくは、イタリア半島中部、アドリア海側に位置するアブルッツォ州テーラモ県クロニャレート町にあるボルダーエリア、ティントラーレ。ローマの北東110㎞ほどのところ。エリアス・ヤニェンマは同州ラクイラ県バリシャーノ村出身。彼自身が、自分の出身州を「南イタリア」としている。