- フリー
- ルート
セブ・ブワン、フラタンゲルで5.15b/c、130mの超ロング・ルート初登
写真=Marco Müller
Steven Potter climbing.com
訳=羽鎌田学
7月21日、セブ・ブワンがノルウェーのフラタンゲルにあるNordic Marathonを初登した。このルートは、ハンスへレレン・ケイブの最も被った部分を登り、ロングという言葉に新しい定義を与えている。
セブ・ブワンは、実に実り多い夏を過ごしているようだ。先ず5月、彼はフランス、ヴェルドン峡谷で長年のプロジェクトであったDNAを登り、グレードを世界最難である5.15dとした。7月上旬には、ノルウェーのフラタンゲルで2013年にアダム・オンドラが初登したIron Curtainの第2登を達成(当初は5.15b。セブはニーパッドを使い、他のムーブを見つけて、グレードを5.15aとコメント)。そして先週、今度はNordic Marathonを初登し、5.15b/cとした。
このラインは、Nordic Plummerと呼ばれる長い5.14bルート(2012年、イーサン・プリングル初登)から、マグナス・ミトボがボルトを打ち2017年にアダム・オンドラが初登した壮大な5.15aとされるThor’s Hammerの2ピッチ目にリンクするものだ。「スタート・ルートは3本」とセブは説明する。そして、どのルートを選んでもThor’s Hammerのハードな2ピッチ目でフィニッシュすることになる。その3本の中でNordic Plummerが最も簡単で、Thor’s Hammerの1ピッチ目(5.14d/5.15a)、そしてMove(5.15b/c)と次第に難しくなっていく。
セブの長期的な夢は「可能な限り難しいコンビネーション」を登ることで、彼自身が何年もの努力の末に2019年に再登したMoveが、その出発点となる。結果、5.15b/cルートから5.15aルートにリンクした、最後にハードな核心を伴う150mの強傾斜を登るルートが出来上がれば、5.15dないしは5.16aグレードの候補になることは間違いないだろう。
セブは、2週間前にThor’s Hammerの2ピッチ目をRPしたのだが、それに先立つ1週間はトライ毎にフィックスロープをユマーリングして登り、その2ピッチ目のみをトライした。そして、スタート・ルートにより難しい他の2本を選択した場合、一度のクライミング・ツアーでは荷が重すぎると考えた彼は、「挑戦のイメージをつかみ、より難しいコンビネーションに挑む時の心理的準備をするため」に最も簡単なルートをスタートに選び、トライを始めたのだ。
「ルートの長さがメンタル的に辛い」と、プレスリリースで述べている。「2日に1回登ればいい方だ。1回のクライミングが非常に厳しくて燃え尽きてしまうので、1日に2回トライすることは無理で、できるだけフレッシュな状態でトライするためには、1日1回のトライ日の間に丸1日の休息日が必要だった。だから、心理的にかなりきつかった」
彼はルートにある3ヵ所の核心で何度もフォールしたが、そのうちの最後の核心が最もハードだった。ロープの抵抗を最小限にするため、ルートの途中でロープを結び替えるというような厄介な操作をしても、その抵抗をまだまだかなり感じ、終了点までの数メートルの簡単なパートでは、まったくクリップしなかったという。
関連リンク
- セブ・ブワン、フラタンゲルでアダム・オンドラ初登のIron Curtainを第2登
- セブ・ブワン、世界で2本目の9c(5.15d)と目されるDNA初登
- セブ・ブワン、La Rage d’Adam 9b/+を初登