ドイツ人フローリアン・ヴィンチェス、瑞牆山のFloatin 8C+/V16を第2登

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訳=羽鎌田学

10月下旬、瑞牆山、発射台の岩でドイツ人ボルダラー、フローリアン・ヴィンチェス(28歳)が、村井隆一初登のFloatin(六段、8C+、V16)の再登に成功した。トライは5日間。

このボルダー課題は、5手のハードムーブで構成され、そのうちの2手はビッグなキャンパスムーブ。続くトップアウト自体は容易だ。この課題は村井隆一が2021年に初登したもので、当時彼にとって3本目の8C+だった。

フローリアン・ヴィンチェスにとっては2本目の8C+課題となった。フローリアンは今年2月にスイスのバヴォーナ谷にある有名なOff the Wagon SDS(8C+)を再登しているので、今年になって2本の8C+を登ったことになる。フローリアンは、8C課題は既に4本登っており、昨年8月には南アフリカのロックランズでV14(8B+)のAmandlaを一撃し、8B+課題をフラッシュした8人のうちの1人でもある。彼は、第2登成功直後インスタグラムに次のように投稿している。

「この完登で大きな夢をかなえることができた。村井隆一が当時Launch Pad Project(発射台プロジェクト)と呼ばれていた課題にトライする姿を見て以来、私はすぐに純粋なパワー・ボルダリングの世界の虜になってしまったのだ。一見その表面に何もない、125度に前傾した花崗岩でできた盾の上での5手のハードムーブ、それがすべてだった。

この課題には、2ヵ所のパワフルな核心があった。第1の核心は最初のムーブで、それは左手の悪いピンチと右手の小さなインカットクリンプから3本の指が入るポケットへの大きなデッドポイントムーブだ。

私にとって、初手はサイファームーブにしたほうが、隆一のキャンパスムーブよりは簡単に感じた。しかし、そのサイファームーブを体得するためには多くの試みが必要で、それぞれのホールドを適切に掴む方法を学ぶ過程で、多くの指皮を犠牲にした。

第2の核心は、下にある小さなクリンプへの、下方へのキャンパスムーブであり、そのクリンプをしっかり保持するためには、指がそこにかかった瞬間に指先に最大限の力を効かせなければならなかった。

この珠玉の逸品の頂に立つには計5回のセッションが必要だった。また日本へのツアー前、最後の3ヵ月間はそのための特別なトレーニングに多くの労力をつぎ込んだ。

今、とてもホッとしている。そして、すべてのプロセスで費やした努力がこの夢の実現に役立ったことをとても幸せに感じている。努力は報われ、この章は幕を閉じた」

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