日本のクライミング界を代表する2人に業界が一丸となってエールを送る「GO EVEN HIGHER」

文=小川郁代

2019年12月6日、とあるパーティーが東京・渋谷で開催された。「GO EVEN HIGHER」と名付けられたこの催しは、日本のクライミング界を代表する、野口啓代、楢﨑智亜の両選手を応援する会として、日ごろから二人をサポートしているクライミング関連ブランドや、業界関係者、メディアなどが集まって行われたもので、一般公開はされていない。

会を主催したのは、2人を所属アスリートとして長年にわたりサポートし続けてきた「ザ・ノース・フェイス」。世界的な大イベントを目前に控えた今、彼らをそれぞれにサポートしてきたクライミング関連のブランドが集い、業界が一丸となって応援しているということを当人たちに直接伝えようと、ザ・ノース・フェイスが各ブランドに声をかけて実現したものだ。

当日は進行役として、自身もザ・ノース・フェイスのアスリートである平山ユージ氏も登壇。華やかなオレンジ色のドレスに、ザ・ノース・フェイスのベストを取り合わせた野口選手と、オールブラックでシックに決めた楢﨑選手が現れると、会場からは一瞬どよめきが上がる。長年サポートしてきた関係者たちが温かい目で見守るなか、二人もクライミングシーンで見せるアスリートの顔とはまったく違う、リラックスした表情を見せていた。

平山氏とのやりとりでは、今年1年を振り返るなかで、8月に行われた世界選手権も話題に上がった。年に一度の重要な試合であると同時に、今年は国内の戦いとしても意味も大きかった試合。スケジュール的にも精神的にもタフなシーズンを終えた今、来シーズンに向けてさらに意欲は高まっているという。2020年をもって競技からの引退を表明している野口選手にとっては、まさに集大成の年となる1年。もちろん楢﨑選手にとっても、非常に大きな意味のあるステップアップの年であることは間違いない。

日本が世界中から注目される大舞台の現場となり、日本国内でもクライミングの位置づけや環境は、ここ数年で著しく変化した。しかし、日本のクライミング業界は過去も今も変わらず2人の活躍をサポートし続けている。そのことが少しでも2人の力にプラスになればいい。会場にいたすべての人がその想いを共有した時間だった。

後半には、三浦雄一郎氏、中島徹氏をはじめとする、世界中のザ・ノース・フェイスのアスリートから二人にむけての応援メッセージが上映された。そのなかで、スキーアルペン競技で3回のオリンピック出場を果たした佐々木明氏のメッセージが心に残る。

「僕は3回の出場のなかで、1度も自国開催を経験できなかった。日本開催のタイミングでトップアスリートとして出場できることは、まさに2人が『持っている』ということだと思います。追われる立場の2人にはマインドの戦いも始まっていると思うけれど、スペシャルな場面で勝ちに行くことはもちろん、自分が納得できる最高のパフォーマンスができることを祈っています」

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