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中嶋徹、鳳来のエピタフ(V16)を完登
中嶋徹が2022年4月2日、鳳来のエピタフを完登した。小山田大、村井隆一に続く第3登。ホールドが安定しない課題で、小山田の初登時(2009年)はV14/15としていたが、村井の時点(2017年)でV15、さらにキーホールドが欠け、今回中嶋はV16あるのでは、としている。以下は中嶋のインスタグラムより。
この春はフィンランドに行けない代わりに、キーホールドが欠けて登れなくなっていたエピタフをトライしていた。この岩はとにかく欠けやすく、小山田さんのトライ時と初登後にも多くのホールドが欠けた。そして隆一君が第二登した直後に、最も重要なガバカチが欠損し、この課題は不可能になったとされていた。
僕はいつかトライしたいと想いつつ、ただ次々ホールドが失われていくのを登山道から眺めていた。ただ、欠けたキーホールドの跡にかすかなエッジが残っていることも知っていた。昨年の3月、ヴァニタスやイデアといった鳳来の目標を登った跡に、なんとなくトライしてみると、思いの外ムーブがこなせることがわかった。今年に入ってから本格的にトライを開始。9日目にはスタートからつなげて核心を超えるも、足を滑らせて落ちてしまった。この時点で当初の予定よりもかなり上手く行ってたし、正直ここまで苦戦させられると思っていなかった。
その後シーズンの終わりが近づくにつれコンディション悪化し、雨や寒暖差による結露に悩まされるようになった。また、核心のヒールフックで負荷がかかる左膝はかなり痛み、完全に壊してしまう寸前だった。そこからの4日間は身体的にも精神的にもかなり辛かったが、トライ13日目にようやくこの課題を登る事ができた。
グレードについては……。第2登時にV15で、そこからかなり難しくなったことを考えるとV16とするのは合理的に思う。だた、残念ながら完登トライの時にキーホールドをさらに欠かしてしまったので、今現在どの程度難しいのかは分からない。この課題はある種「なまもの」みたいな感じだ。そういうタイプの課題はあまり好まれないし、実際僕もあまり好きじゃない。ただ、多かれ少なかれ、どんな岩のホールドにも無くなるリスクはあるんだから、登りたい岩は放置せずに、それがあるうちにやるべきっていうことなんだと思う。