中嶋 徹の称名滝フリーソロ動画『ACT ON REASON』公開と記念トークショー

北アルプスの名瀑で、落差日本一を誇る称名滝(4段、350m)をフリーソロした中嶋徹が、その動画のお披露目とあわせて、10月3日、トークショーを行なった。


中嶋(左)と共に2018年、チームフリーで称名滝を登攀した平山ユージ(右)が相手役を務めた

この滝をフリーソロする着想は、昨年、ザ・ノース・フェイスのグローバルアスリートチームで称名滝をフリー登攀した直後に思いついたという。滝の放つ自然の強大なパワー、この滝を心のまま身一つで登れたら、どんなにいいクライミングができるだろう――しかし今年、いざ取り組むとなると、中嶋がふだん活動するフィールド(乾いた岩)と、滝登りでは不確定要素が格段に違った。難易度こそ世界トップクラスの中嶋には問題ではないが、滝登りには、圧倒的な水量と爆風、濡れてもろい岩、足を滑らせるコケ、さまざまなリスクが待ち構えている。そして、なんといっても350mという高さ。

この、一つ間違えれば「死」という恐怖と不安にさいなまれるなかで、中嶋がリスクを細かく分析し、自身のこれまでの経験や登攀力とすり合わせて、理性的に「登れる」と判断するまでの過程が丹念な言葉で語られた。一般からかけ離れた冒険的な行為でも(だからこそ)、トップアスリートがいかに理知的に意志決定し、リスクをコントロールしているか、またその集中力についての知見がうかがえる貴重な場となった。

ドローンを駆使して映し出される称名滝の迫力のある映像には、時折、中嶋の内面に迫るシーンも挿入されている。

 

<備考>
称名滝フリーソロ 2019年8月8日 登攀開始8:07 登攀終了9:45 下山11:42
*『ROCK&SNOW』085号に手記を掲載

 

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