北山真にきく!世界選手権をより楽しむためのQ&A!

9月6日(木) から16日(日) にかけ、オーストリア インスブルックで行われるIFSCクライミング世界選手権大会。2016年のパリ大会に続き、今回も日本人選手の活躍が期待されますが、この大会をもっと楽しむために、素朴な疑問をRock&Snow編集部の北山真にぶつけてみました!

 

戦後生まれ。高校から30歳までミュージシャンとして活動。30歳よりクライミングを始め、全国に多くのルートを開拓するかたわら、幾多のクライミングコンペをプロデュース。45歳で音楽活動を再開。現在はクライマー、ミュージシャン、編集者、グルメライターとして多忙な日々を送っている。
『フリークライミングのススメ』(山と溪谷社刊)など著書多数。

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ワールドカップと世界選手権大会はどう違うのでしょうか?

スポーツクライミングのワールドカップは毎年開催される大会で、年間最大8つの大会が開催され、各大会での順位ごとに付与されるポイントの合計で年間チャンピオンが決まります。そのため、シーズンを通じて一定以上の成績を収めることが重要です。

一方、世界選手権大会は2年に1回しか開催されず、いわば一発勝負の世界。そのため、ワールドカップの年間チャンピオンであっても優勝できないといったことが起こり得ます。

実際、前回の世界選手権大会まで「日本人選手はワールドカップの年間チャンピオンにはなれても、世界選手権では優勝できない」というジンクスが囁かれてました。そのジンクスを打ち破って2016年の世界選手権ボルダリングで優勝したのが楢崎智亜。今年のワールドカップボルダリングの年間ランキングは惜しくも2位となりましたが、世界選手権ボルダリングでの2連覇が期待されます。

Q 選手達にとって、ワールドカップと世界選手権では大会の重みというのは違うのでしょうか?

それぞれの選手によって考え方は異なると思いますが、ワールドカップより世界選手権をより重視する選手もいます

例えば今シーズン、ワールドカップのリード競技でランキング1位のヤーニャ・ガーンブレッ卜は、昨年のインタビューで、ワールドカップ年間チャピオンと世界選手権の優勝どちらかを選べと言われたら、世界選手権での優勝をとると答えています。また先日のアジア大会の複合で優勝をしたチョン・ジョンウォンは、今期ワールドカップボルダリングの最終戦ミュンヘンを棄権し、アジア大会と世界選手権に向けたトレーニングに集中するとのコメントを自身のインスタグラムで述べています。

世界選手権では「複合」という種目がありますが、これはどういう種目なのでしょうか?

「複合」は「リード」「ボルダリング」「スピード」3種目の合計順位を争う種目で、クライミングの総合能力が求められます

今回の世界選手権では、まず「リード」「ボルダリング」「スピード」の各個別種目の予選順位を掛け合わせ、数字の小さい順に上位6名が「複合」種目の決勝に進出します。決勝当日は、各選手は「スピード」「ボルダリング」「リード」の順番で課題をこなし、同じく各種目の順位を掛け合わせることで、最終的な順位が確定します。

2020年のオリンピックでは、この「複合」のみがメダルの対象となるため、オリンピックの前哨戦としても注目の種目です。

世界選手権大会への派遣選手はどのようにして決められるのでしょうか?

世界選手権大会への派遣選手は、公益社団法人日本山岳・スポーツクライミング協会の強化委員会が推薦し、常務理事会で承認することによって決定されます。選考基準等の詳細は、公益社団法人日本山岳・スポーツクライミング協会のウェブサイトから確認することができます。

世界選手権大会の各競技のルートはどれくらいの難しさなのでしょうか?

女子リードは5.13c~5.13d,男子リードは5.14a~5.14cぐらいでしょう。昔のようにだんだん難しくなるのではなく、各ラウンドほとんど同じグレードのことが多いようです。予選はフラッシングですし、ファイナルでは完登が出たほうが盛り上がるし。
女子ボルダーは初段/V7~8でしょう。ヤーニャ・ガーンブレッ卜だけは二段/V9でも登れるようですが。男子ボルダーは基本,三段/V10~11ぐらいでしょう。予選は二段かもですね。

ずばり注目の選手は?

やはり岩場で活躍している選手を注目してしまいますね。まずはアダム・オンドラ。アグレッシブな登りがハマれば天下無敵です。そしてアレックス・メゴス、だいぶ成績にムラがありますけど、そろそろコンペにも慣れてきたのでは? 

日本人では男女とも2強(楢崎、藤井、野口、野中)はもちろんですが、世界ユースでダブル優勝した楢崎明智に注目ですね。兄の智亜も「俺より才能がある」と言ったとか。そしてラウンドによっては明智より成績がよかった原田海も期待できます。

 

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