セブ・ブワン、フランスのピック・サン・ルーで9b+(5.15c)初登

gripped.com
訳=羽鎌田学

11月14日、もっぱらセブという愛称で知られるフランス人クライマー、セバスティアン・ブワンが、フランス南部、地中海沿岸に程近いモンペリエの北方20㎞ほどのところに聳える南仏を象徴する山のひとつ、ピック・サン・ルーでWolf Kingdom(9b+、5.15c)の初登に成功した。彼のこの素晴らしい成果により、世界のクライミングシーンにワールドクラスの新たなラインが付け加えられた。これは、2024年年頭に私たちgripped.comが発表した2024年に注目すべきプロジェクト一覧に挙げた複数のパフォーマンスのうちのひとつであった。

セブは、1年半前にWolf Kingdomとなるラインにボルトを打ち、それ以来、夏の間は長期間離れてはいたが、他のシーズンは断続的にこのプロジェクトに取り組んでいた。今回のWolf Kingdom完登のわずか6日前には、彼はグルノーブル近郊のテタール・パルクの岩場で充実した1日を過ごし、絶好調な様子を見せていた。

その日彼は、Le Dernier Têtard(8c、5.14b)をフラッシュし、また同じ日にAmicalement Blues(9a、5.14d)を完登し、その後このビッグ・プロジェクトの達成へと続く印象的な連続パフォーマンスを披露したのである。

セブは、世界で最も優れたスポートクライマーのうちの一人である。彼の目覚ましい成果には、DNA(9c、5.15d)、Supreme Jumbo Love(9b+、5.15c)、Bibliographie(9b+、5.15c)、Change(9b+、5.15c)、Move(9b/+、5.15b/c)、Beyond Integral(9b/+、5.15b/c)、La Rage d’Adam(9b/+、5.15b/c)などがある。

セブは、自身の新しいルートについて次のように述べている。

「Wolf Kingdomは間違いなく、私が開拓初登した素晴らしい作品のひとつであり、最も面白く、そして最も美しい作品のひとつでもあります。また、ルートのタイプからして、将来的に最もトライされる9b+(5.15c)ルートの一本になるのではないでしょうか。家のすぐそばにあった、この美しいプロジェクトが遂にプロジェクトでなくなってしまったことは、少し悲しくもあります。

Wolf Kingdomは、Beyond(9a+、15a)のハードなパート(9a)から、上部はLes Rois du Lithium(9b、5.15b)のハードなパート(9a+)につなげるラインです。完登までに、ルート下部のアプローチ的なBeyondのパート(9a)は、50回以上再登したことになります」

※セブ・ブワンは、ピック・サン・ルーの岩場で複数の高難度ルートを初登している。Beyondは、彼自身が2019年春に初登した一本。Les Rois du Lithiumも、やはり彼自身が2024年春に初登したルートである。また、2020年秋にはBeyondの延長ルート、Beyond Integralを登っている。

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