山野井泰史がピオレドール生涯功労賞を受賞

フランスのピオレドール事務局は10月27日、日本の山野井泰史に第13回ピオレドール生涯功労賞を贈ることを発表した。

ピオレドール生涯功労賞(Lifetime Achievement Award)とは、長年にわたってアルパインクライミングの世界で活躍し、その実績と精神が次世代のクライマーに大きな影響を与えてきた者に対して贈られる賞である。


韓国・トボンサンの岩場にて(写真=萩原浩司)

2009年に創設された同賞の最初の受賞者はワルテル・ボナッティ。2年目はラインホルト・メスナー、3年目はダグ・スコット。以下、ロベール・パラゴ、クルト・ディームベルガー、ジョン・ロスケリー、クリス・ボニントン、ヴォイテク・クルティカ、ジェフ・ロー、アンドレイ・シュトレムフェリ、クシストフ・ヴィエリツキ、そして昨年受賞したカトリーヌ・デスティベルと続く。これら12人の顔ぶれを見ても、クライミング界の錚々たるレジェンドたちがこの賞を受賞してきたことがわかるだろう。

今回、13人目の栄誉を受けることになった山野井は、1988年のバフィン島トール西壁単独初登攀、1990年のフィッツ・ロイ南西稜冬期単独初登攀、1994年のチョ・オユー南西壁新ルート単独登攀等の輝かしい登攀記録とともに、2002年のギャチュン・カン北壁登攀時に凍傷で10本の指を失ってからも精力的に登り続け、世界の高峰に、あるいは高難度のクライミングルートに挑み続ける姿勢が多くのクライマーたちに刺激を与え続けてきた。

それは日本国内のみならず、お隣・韓国のクライマーたちにも強い影響を与えてきたのだが、今回の受賞を機に彼の業績とその精神がより多くの国の人々に認知されていくことだろう。

ピオレドール受賞式典は11月26日からフランスのブリアンソンで開催される。詳報は本サイトと『ROCK&SNOW』094号で掲載する予定である。

(文=萩原浩司)

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