サラリーマン〝スペイン・カタルーニャ弾丸クライミングツアー〟全9日間の記録 ’15 【2】

序章
きっかけは突然訪れた。6月上旬の日曜日、僕が通うクライミングジム Jet Setで『ROCK & SNOW 068』の表紙になっていたアメリカ、カリフォルニアのビショップの写真を眺めながら、オーナーの妻であるY子氏に「また海外に行きたいですね」と、つぶやいたときのことだった。

「行ってくればいいじゃない。お父さん(オーナー)と一緒に。」と、Y子氏は迷いなく答えた。僕は、その予想していなかった嬉しい返答に気持ちが高鳴り、つい大きな声で「お父さん!! 許可が出ました、海外に行く!」と壁に取り付いているオーナーに伝えると、「で、何処に行きたいの?」迷いのないオーナーの返事が返ってきた。

行き先はスペインに決定。今回のクライミングツアーが決行されれば、オーナー夫妻との海外遠征は2回目となる。2012年秋、ヨセミテ、ビショップに滞在した記憶が思い出され、あの楽しみが今年はスペインで経験できると、期待しながら準備に取り掛かった。

準備
打ち合わせを重ね、今回訪れるエリアはリェイダLleida]周辺の岩場に決定。トポを取り寄せて間もなく、さらに2名の参加が決まった。出発から帰国まで行動を共にするのは、野中宏修(石井スポーツ勤務)、Yさん(会社勤務)、僕の3人。オーナー夫妻は先にスペイン入りして、合流する旅程となった。

スペインに滞在できるのは1週間。リェイダの県都から東北方面に約40kmに位置するカマラサCamarasa]にアパートを借りて、そこをベースに周辺の岩場へ出かけることにした。

各自、職場への巧みな根回しで休暇取得が認められたことは言うまでもない。 野中と僕は、妻に決裁を得る2つ目の核心越えがあったが、お互いスムーズに通過することができた。両人、理解ある優しい妻に感謝。