ボルダリングマットを選ぶ5つのポイント

ボルダリング グッズ アウトドア
2017.10.28
協力=公益社団法人日本山岳・スポーツクライミング協会 文=小林由理亞 イラスト=ヨシイアコ

ボルダリングのマットはどうやって選べば良いのだろう? ここでは目的に合った一枚を見つけるために押さえておきたいポイントを解説します。

ボルダリングマットどう選ぶ?

外岩を登るときの基本装備であるボルダリングマットを背負って、妖怪ぬりかべが歩くがごとく岩場へ向かうのが、ひとつのファッションにもなっている。好きな色やデザインだと登る意欲が断然湧くもので、見た目も大きなポイントだろう。

とはいえ、やはり重要なのは体を守ること。ボルダリングマットは相場も3万〜4万円と高額なので、後悔しないよう、しっかり機能性を踏まえて選びたい。

安全面に関していえば、その性能のみを頼りにするのは禁物である。確かに、マットがあってこそくりだせるムーブもある。しかし、ボルダリングの黎明期にはマットなど存在しなかったのも事実。あくまで保助であり、安全管理は各人の使い方に委ねられている。課題を選び、敷く場所の状態や起こりうる危険を把握して使うのが大前提だ。

たとえば、自分が落ちそうな場所におく、危険箇所を覆う、スポッターがいるならフォローのタイミングも相談しておく、基本はクライムダウンする、など。動きをうまくコントロールして登るのも、外岩の楽しみのひとつなのだ。今回は1枚目を選ぶ際のポイントを押さえつつ、2枚目以降の購入にも役立つように解説していく。登るスタイルや目指す課題に合わせて選んでみよう。

1、サイズ

縦×横

特に定まった規格はないが、現在市販されているマットは「小」「中」「大」の3サイズに大別できる。最も種類が多く汎用性が高いのは「中」(約90〜100×約120cm程度)。着地面積と携行性のバランスがよく、1枚目にはこのサイズがおすすめだ。それ以外の大きさは特徴をよく理解した上で選びたい。

小さいマットの利点は、軽くて持ち運びやすいこと。1枚では足りない部分、ぶつかりそうな木や石を覆うサブマットとしても重宝する。しかし、これ1枚でとなると守備範囲が狭く、不用意な着地ができない。

大きいマットは横移動の多い課題にも向く。だが、当然ながらかさばるし、重い。電車移動では肩身の狭い思いをするだろう。車移動が多い場合も、車内に収まるか確認してから購入したい。

厚さ

9〜10cmが主流。これより厚いものは、ハイボール(高さがあり、落下距離が長い課題)でも安心度が高い。

厚くてコシのあるマットは安心だが、石や木の根など障害物の上に敷く場合は要注意。地面の凸凹に馴染みにくく、着地時にぐらついてしまうことがあるので、慎重に使いたい。また、大きなマットと同様にかさばるし、重い。その他の荷物も携行することを考えると、マットはやはり軽いに越したことはない。ちなみに「中」で5〜6kgが目安である。

薄いマットは携行性が高く、複数の岩を渡り歩く「ボルダーサーキット」にも便利。しかし、衝撃吸収性は低いので、あまり高いところからは落ちないほうが良い。メインとして使うのなら着地のコントロールを心がけ、無理はしないように。

2、折り目

タコorヒンジ

小さなサブマットを除き、ほとんどのマットは折って運ぶようにできている。そして、折り目の構造により「タコ」と「ヒンジ」に分けられる。どちらも一長一短がある。以下を参考にして好みで選んでみよう。

タコ

タコは一枚のマットをメキシコ料理のタコスのように折って運ぶタイプ(三つ折りは「ブリトー」)。つなぎ目がなく、折り目を気にせずに登れる。折ったときにできる隙間に荷物を挟んで運びやすいのも利点。しかし厚くて硬いものだと、折りたたむのに力がいる。

ヒンジ

ヒンジは2枚(三つ折りは3枚)のマットを折り目の箇所でつなげてあるタイプ。折りたたみやすく、収納時にフラットに重ねられるのが利点だ。また、河原など凸凹の多い場所で、突き出した岩にかぶせるときにも置きやすい。

3、背負う面

接地面or着地面

接地面

着地面

ヒンジは接地面を背負う(背負う面を下にして敷く)タイプがほとんど。一方タコは、着地面を背負う(背負う面を上にして敷く)ものもある。携行時やトランクに入れたときの汚れが気になるなら、こちらを選ぶといいだろう。使用時はショルダーハーネスを取り外せたり、フラップで覆って隠せるようになったりしている(ヒンジでも同様のタイプはある)。またタコの場合は、ウレタンが痛みにくいという利点がある。

マットの中身をみてみると、着地面側に薄くて硬め、接地面側に厚くて軟らかめのウレタンが使われていることが多い。薄いウレタンは、折りグセがつくと裂けやすなってしまう。着地面を背負うタイプだと、着地面側のウレタンが外側で緩やかに曲がるため、折りグセがつきにくく、長持ちするというわけだ。

4、携行パーツ

フラップ

アプローチ中は両手をあけて歩きたいので、荷物はマットに挟んで運ぶ。このときに便利なのが、マットの側面や底面を覆うフラップだ。その分、多少重くなるものの、携行性は抜群。荷物を落とす心配もなく、たくさん運べる(とはいえ装備は極力減らそう)。1枚目ならフラップ付きがおすすめだ。選ぶときは開封のしやすさもチェックしたい。

ショルダーハーネス

お目当の岩場まで徒歩1分・・・というケースもあるが、登山道を外れて歩くことが多い。木や岩にマットが当たって体が振られると、思った以上に疲れるもの。そのため、ショルダーハーネスの作りと位置が重要になる。

岩場まで長く歩くことが多いなら、多少重くなるものの、ショルダーハーネスのパッドがしっかりしているタイプを選びたい(ウエストベルトも同様)。ただし、接地面を背負うタイプでショルダーハーネスが取り外せない場合は、簡易なほうが、敷いたときに安定する。

ストレスなく歩くには、背負ったときに頭がマットから少し出るくらいの位置になるものがおすすめ。フィット感も含め、必ず背負って確認しよう。

5、素材

マットのヘタリにくさや衝撃吸収性は、クッション部分、つまりウレタンの質に左右される。これについては、品質はもとより、数種類を重ねるなど各社独自のこだわりがみられる部分でもある。

しかし、残念ながら店頭で数回踏む程度では実感しにくい。メーカーの表記をチェックするほか、店のスタッフや身近なクライマーに使用感を聞区などして参考にしよう。

※本記事はCLIMBING-joy015号の記事を元にしています。

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