※本記事はCLIMBING-joy015号の記事に加筆修正を加えたものです。
用途や目的、グレードや足の形などによって、それぞれにベストなクライミングシューズは違います。
モデルごとの特徴はもちろん、どのブランドにも独自のコンセプトや特徴、得意分野などがあります。ブランドが生まれた国や歴史について知ることも、シューズ選びのいいヒントになるかもしれません。
クライミングシューズを作っている世界17のブランドを紹介します。
創業1928年、北イタリアのドロミテ山塊の地で林業に携わる人々のために靴を作り始めた。3代目の現社長、ロレンツォ・ディラディオがクライミングシューズの開発を始める。
世界初のクライミングシューズといわれる「スーパーウインクラー」「ヨセミテ」をリリースするやその評判が国内で広まり、スポルティバの知名度は世界的なものになっていった。機能とデザイン性を高いレベルで実現できるMade in Italyにこだわり続け、ユニークな発想で高いパフォーマンスを発揮している。
ソリューション、スクワマ、タランチュラ
社名はイタリア語で「靴」の意味。1938年、イタリアのアゾロ村で登山靴の専門メーカーとして誕生した。レザーへのこだわりは並々ならぬものがあり、レザーの基となる動物の産地や飼育過程の吟味から、優秀ななめし加工業者の発掘まで、徹底した品質管理を行なう。
シューズの設計・開発は、70〜80年代に活躍したクライマー、ハインツ・マリアッハーが担当。クライマー目線での性能の追求と、伝統あるシューズメーカーとしての確かな作りを融合させている。
インスティンクト、ドラゴ、フォース
1929年、イタリアで創業した登山靴の専門メーカー。新しい独自技術を次々に開発することで知られる。登山靴と同じ工場で生産されるクライミングシューズは、丁寧な作りと頑丈さが特徴。
工場敷地内にクライミングジムを併設し、本社から車で少しの距離に数多くあるフィールドへ、社長自らが製品チェックのため足を運ぶ。
タティカ、ベガ
1921年に軍事用援助物資を入れるバッグメーカーとしてスタート。1950年、人類初のヒマラヤ・アンナプルナ登頂成功で背負われていたことで、一躍世界のザックブランドとして名を上げる。
その後も山のエキスパートたちの経験と知識に基づいて、アルピニストたちの頭からつま先まで装備を提供できる数少ないブランドとして進化し続ける。
クリフハンガー、シウラナ
1950年以来、初心者から上級者まですべての登山者のために登山靴を製造している老舗メーカー。1970年代前半にフラットソールシューズを生み出した元祖で、フラットソールシューズは製作者のエドモンド・ブードノーのイニシャルから”EBシューズ”と呼ばれた。
EBシューズが初めて日本に輸入されたのは76年、その数はわずか600足だったという。2017年3月に新たな装いで再登場し、イタリア製のデイトナラバー使用のハイパフォーマンスモデルから、エントリー、オールラウンド、クラックやマルチ向けレースアップにキッズを加えた5モデルをラインナップする。
ガーディアン
1997年に、ホセ・ルイス・ガルシア・ギャレゴとその家族により設立。靴作りの伝統が色濃く残るスペイン東南部に拠点を置き、クライミングと登山用のシューズを専門に製造する。
品質の管理を徹底するため自国の自社工場での生産にこだわり、以前の「足が入るならできるだけ小さいものを選べ」というフィッティングの考えを改め、”快適な高性能”を普及するべく、足入れのいい快適な靴を作ることを心がけている。
オアシ、イアティ、タンタ
スペイン・バレンシア地方の小さな町Villenaにて1975年創業。フリークライミングの隆盛とともに発売したフラットソールシューズの「フィーレ」が大ヒット。この靴が、当時のクライミングのレベルを一気に押し上げたといっても過言ではなく、マジックシューズとまで呼ばれた。
一貫して自社開発のソールにこだわり、難しい一体成形のランドも開発可能な体制が強み。日本人に合った無理のないフィット感は長く支持されている。
ディアボロ、ミュータント、ジョーカー ベルクロ
2014年、それまでの「ROCKPILLARS」から「OCUN」として生まれ変わった。元自動車の整備士だったPavel氏が、1994年にスタートしたクライミングシューズの生産と、多くのクライミング用品のプロダクトを手がけるOCUNブランドの生産事業を統一したもの。
物作りで名高いチェコの自社工場で、今も一足ずつ丁寧に作られ、常に最新の技術を駆使して価値ある製品を生み出している。高い機能性を誇る一体形成型ラバーシステム"3Force system"の開発などで注目を浴びる。
オキシー、オゾン、クレストクイックロージャー
世界でもクライミングが盛んな国として知られるチェコのシューズメーカー。20年以上にわたり自社工場を構え、製品はすべてハンドメイドされている。
品質管理を徹底するために自社生産にこだわり、チェコのトップクライマーからも信頼を受ける。
ジーナス ベルクロ
1986年創業のクライミングギアの総合メーカー。「クライマーが上を目指すために、最高のものを作る」と理想を追求し、ベストなパフォーマンスを発揮できるギアを提供している。一貫してヨーロッパで生産しており、生産だけでなくクライミングシューズの修理も行なっている。
ファルコ、スピード、エニグマノップ
2014年創業の新進気鋭のブランド。履き心地や性能はもちろん、仕上がりの良さにもこだわり、すべてにおいて非常に完成度の高い製品作りを行なう。代表作「Acro」がアメリカの『Climbing』誌で「The Best New Climbing Shoe of 2016」を受賞。近年、国内での認知度も高まり、全国のクライマーの高評価を得ている。
アクロ、ニート
ドイツの名クライマー、シュテファン・グロヴァッツが自らの理想のシューズを世に送り出すために立ち上げたブランド。ドイツ西部にある本社で、開発からテストまでのすべてを行う。
「クライマーが必要とするものは、クライマーのみが知る」の理念のもと、従業員は全員クライマー。ブランド創立時の熱意を持ち続ける。
アトミック、デュランゴ、アンプ
1863年にふたりの山仲間が始めた登山用のロープ作りから150年以上の歴史をもち、現在のロープの仕様(カーマントルロープ)を開発した老舗ブランド。現在ではロープだけでなくギア、ウェア、シューズなどのクライミング総合メーカーとして、たび重なるテストとフィードバックを基に、幅広い商品開発を手がける。
ブリザード、タイフーン
クライマー、チャールズ・コールが1985年に設立。ヨセミテの花崗岩で履いていたテニスシューズのフリクションを不満に感じたことをきっかけに、大学でのラバー研究を経て、フリクション性能で他を圧倒する「FIVE TENステルスラバー」を開発した。
クライミングシューズの進化は、ファイブテンのテクノロジーなくしては成し得なかったといっても過言ではない。クライミングシューズに関していえば、ダウントゥシェイプやベルクロクロージャーシステムを最初に採用するなど、どの時代においてもチャレンジングな製品開発を行ない、革新的な商品を生み出し続ける。
ハイアングル、ローグVCS、モカシム
2003年、カリフォルニア州で誕生。クセが少なく素直で履きやすいモデルが多く、エントリーモデルは価格を抑えた設定がされている。フリクションと耐久性を両立する自社開発ラバーを採用。水洗いを推奨するほどの耐久性を誇る。リソール工房を併設し、クライミングシューズブランドとして唯一、アフターケアを提供。
アグロ、アシマ、デファイ
オビ・キャリオンらをアドバイザーとするアメリカ西海岸のシューズブランド。独自のソールラバーをアメリカで開発・生産、ベトナムの自社工場にてすべての製造を行なう。
土踏まずをラバーで吊り上げる、かかと部のラバーを立体成型したパーツで構成するなどのアイデアをいち早く採用した、革新的姿勢が特徴。
ロータス、フラッシュ
オレゴン州ポートランドで設立。中国に自社工場をもち、他のブランドのOEM生産も手がける。デザインから生産を自社内で一貫して行ない、高品質のシューズを低価格で提供できるのが最大の強み。
接着剤のはみ出しやステッチのズレなどのない丁寧な作りと耐久性の高い素材から、週3ペースで登ってもヘタレない。
レイブ2.0
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