東京五輪の正式種目となったスポーツクライミング。リード、ボルダリング、スピードの3種目が、複合競技として採用されることになりました。 すでにボルダリングにはまっている人はもちろん、まったく初めての人でも大丈夫。3年後の東京五輪に向けて、スポーツクライミング観戦の楽しみ方を、今からチェックしておきましょう。
ルールについては、五輪独自の方式になる可能性もありますが、ここではワールドカップなどで採用されている「IFSC(International Federation of Sport Climbing)」の国際大会ルールを紹介します。
まずは最近人気急上昇中の「ボルダリング」編からどうぞ。
ボルダリングという言葉は、大きな丸石を意味するボルダー(boulder)が語源。もともとは川原などに転がる大石を、道具やロープを使わずに登る行為をボルダリング(bouldering)と呼ぶようになったのが言葉の由来です。最近は各地にボルダリングジムが急増している影響で、「ボルダリング=ジムで登ること」と思っている人もいるようですが、アウトドアで岩を登るボルダリングがもともとの形なのです。
競技としてのボルダリングはインドアで行なわれ、高さ5m程度までの壁に付けられたカラフルなホールドを手がかりに壁を登ります。5mというと、実際に登ってみると結構な高さに感じますが、床には落下時の衝撃を吸収するマットが敷かれるので、ロープなどの安全器具は使用しません。
ホールドは主にポリエステル樹脂などで作られていて、指先がようやくかかるような極小のものから、持つというよりは抱え込んだり押さえ込んだりするような大きなものまで、表面もざらつきのあるものや、磨かれたようにツルツルなものまでさまざまなタイプがあります。
基本的なルールはとてもシンプル。決められた課題(コース)を、指定されたホールドからスタートして、指定されたゴールのホールドを両手で保持(安定した状態を保つ)すれば成功。課題は複数設定されていて、1本でも多く成功(完登という)した人が上位となります。これは競技だけでなく、クライミングジムなどでボルダリングを楽しむときもまったく同じ。でも、競技としてのボルダリングには、いくつかのルールや、競技ならではの特徴があります。
一度でも実際にクライミングジムに行ったことのある人ならわかると思いますが、ジムでは壁いっぱいにたくさんのホールドが付けられています。そのなかから、課題ごとに使っていいホールドが決められていて、色や番号などで見分けられるようになっているのが一般的です。
これに比べて競技で使われる壁には、付いているホールドはわずか。その課題で使うホールドしか付けられていないのだから当たり前ですね。
でも、それにしてもホールドの数がとても少ないと感じるはずです。ホールド間の距離が大きいということは、普通に手を伸ばしても次のホールドに届かないことも多いのです。しかもひとつひとつのホールドがとても持ちづらい形をしていて、実際に触ったとしたら、「これのどこを持って登ってるの?」「ここからあそこへどうやったら行けるの?」と驚くに違いありません。選手はこの限られたホールドを使って、手足を自在に使い、手順や体の使い方を即座に考え、筋力や体幹、柔軟性などを駆使して課題を攻略するのです。
また、テレビなどで見るとわかりにくいのですが、壁の角度もジムではあまり見られないような急傾斜のものが多く、これも課題の難易度をぐっと上げる要因になっています。
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